米国の中央銀行にあたるFRBが、政策金利を0.5%引き下げた。米国ではコロナ禍の急激な景気の回復や供給網の混乱などからインフレが急激に進み、物価上昇率は一時期9.1%まで上昇した。これに対しFRBは、おととしの3月から11回にわたり政策金利の引き上げを行い、先月の物価上昇率は2.5%まで低下している。その一方で雇用の伸びが減速するなど、高い金利が景気を過度に減速させるおそれもあるため、金利の引き下げに踏み切った。今回の決定について、FRBを率いるパウエル議長は「最新の雇用と物価のデータに基づいて決めた。(今回の決定は)後れを取らないというわれわれの決意の表れだと思う」とコメント。8月の雇用統計では、重要な指標となる農業分野以外の就業者の伸びが市場の予想を下回った。雇用が悪化するリスクを考えて、大幅な利下げに踏み切ったものとみられる。これを受けて、ニューヨーク市場のダウ平均株価は一時370ドルの値上がりとなったが、その後のパウエル議長の記者会見で“今後も大幅な利下げが続くかどうか不確かだ”との見方が出て、終値は前日に比べ103ドルの値下がりとなった。円相場は現在1ドル=142円17銭〜23銭で取り引きされている。