香港が中国に返還されてきょうで27年。中国国旗を掲揚する記念式典が行われた。返還当初、「言論の自由」など高度な自治を認める「一国二制度」を50年維持。4年前に施行された国家安全維持法が香港社会を大きく変えた。今年3月に国家安全維持条例が施行され反政府的な言動に対する取り締まりは一層強化されている。学校教育も標的となる。香港の現役教員は「国家に関する良くない情報について話してはいけない」。かつては民主派を支持していたが、今は政治スタンスについては一切触れないようにしているという。カリキュラムも変更される。高校では時事的な事柄について様々な立場の意見を学ぶことができた「通識」という授業が別の科目に置き換えられる。英国に亡命した香港の民主活動家・鄭文傑は「この変化は大きな意味を持つ。生徒らにナショナリズムを強制するために通識が愛国主義的な教育に取って代わられた」。来年から始まる「人文科」は愛国や国安法についても学習。香港の現役教員は「2019年のデモは暴力的で社会秩序を乱したと政府にあわせた立場で明確に言わなければいけないかもしれません」。退職した教員数のグラフ。教壇に立ち続ける理由は?「信念を持った先生たちは生徒や児童が自分で物事の是非を考えたり、背景を判断できるよう導くことができる。教育の最後のラインを守っていくということ」。