年間300万人が訪れ登山客の数は日本一の高尾山。気軽に登れる山として人気だが、年々事故が増えている。去年の事故の件数は133件。富士山より多くの事故が起きている。最も多い理由が道に迷うこと。そのため、登山家の守屋二郎さんは足で調べた手作りの地図を13年前から毎週末高尾山で販売している。道に迷わせない工夫その1は分かれ道までの距離の表記。登山道には地図にはない獣道があるなどひとたびコースを間違えてしまうと遭難のリスクが高まる。そこで守屋はコース上のすべての距離を正確に計測。一般的な登山地図にはそもそも距離は書かれていないのだがこの守屋の地図には分かれ道から次の分かれ道までの距離が記載されている。具体的な数値があることでルートを間違えずに進むことができる。その2は道に迷わせない工夫。目印を徹底的に調べ上げる。高低差のある山道を長時間歩いていると疲れて現在地を見失うことがあってそれも道に迷う原因の1つとなっている。そこで守屋はGPSを使って目印を地図に書き込んだ。例えば1260メートルと書かれているこの区間。4つの目印が正確に記載されているため現在地を確かめながら進むことができる。目印は定期的に調査しており、かつて屋根付きの休憩所があったが屋根がなくなりベンチだけになっているのを発見し、都度修正を行っている。地図に記載した全132コースをくまなく歩いて調査するため一日に5万歩、30キロを歩くこともある。また、お客さんからの要望で奥多摩や箱根などの登山地図も作るようになって12種類にまで増えている。今、取り組んでいるのは増えている外国人登山者も使える地図にすること。尾根の名前やバス停など少しずつ英語表記を増やしている。今後、QRコードをスマートフォンで読み取ると英語の解説が読めるようにしたいと考えている。安全に山を楽しんでほしいと守屋さんはきょうも山を歩き続けている。