財政健全化の指標である基礎的財政収支の黒字化目標について、高市総理大臣は、単年度ごとに達成状況を見る現在の方針を見直す考えを示した。野党側からは「財政規律が緩むおそれがある」などといった指摘も出ていて、今後議論が活発になることも予想される。高市総理大臣は質疑の6時間前の午前3時ごろに総理大臣公邸に入って準備にあたった。財政健全化の指標であるプライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化目標について、立憲民主党の本庄政務調査会長が、「高市内閣は『責任ある積極財政』をキャッチフレーズとしているが、黒字化目標を取り下げたのか」とただした。高市総理大臣は「単年度ごとの達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討している。これからの財政運営は少し長いスパンで見ていきたい。単年度という考え方は取り下げると考えてもらって結構だ」と述べた。野党側からは「単年度の目標にこだわる必要はない」として見直しを評価する声がある一方で、「財政規律が緩むおそれがあり、国債や円の信認にも関わる」などの指摘も出ている。野村総合研究所のエコノミストは、積極財政をやりやすくするための環境整備だという。国会では衆参両院で予算委員会が開かれる。経済対策のとりまとめを前に、財政健全化をめぐる議論が活発になると予想される。政府が掲げる成長戦略の中身や、労働時間規制の緩和、政治とカネの問題などを巡っても論戦が交わされる見通しだ。
