しょうゆ発祥の地とされる和歌山県・湯浅町のしょうゆ蔵を訪ねた。この蔵では800年培ってきたしょうゆ作りの伝統を生かして1年以上かけ大豆や小麦を発酵させながらゆっくりと熟成させる。その後布で包み、醤油をしぼっていく。この蔵で出る醤油の搾りかすは年間約30トン。塩分濃度が高いためかつては産業廃棄物として処分されていたこともあった。しかしタンパク質や脂質が豊富に含まれることから良い卵を作ることにいかせないかと考えた。この思いをかたちにしたいと動き始めた養鶏場が田辺市中辺路町にある。飲食業に約40年携わってきた籠重誠二さんは食材から良いものにこだわりたいと6年前から養鶏に携わってきた。米ぬかやおからなど鶏の健康に良いとされるものを追求してきた籠重さんが出会ったのが醤油の搾りかすだった。えさの塩分を調整したうえで搾りかすを5%混ぜている。鶏の健康状態を見て搾りかすの量を少しずつ増やす計画もあるという。いまこの卵に注目しているフランス料理のシェフが居る。有田川町にあるレストランにしょうゆ蔵の塩谷さんが届けたのは産みたての卵。シェフの前川さんがまず試作したのは卵の素材の良し悪しがカギを握る「ポーチドエッグ」。そしてローストビーフに合わせてみた。今までやっかいものだった醤油の搾りかすだが、塩谷さんは今回開発された卵をはじめ、醤油の新たな魅力を広げたいと考えている。