大雨による災害が懸念される季節となったが、避難の際、支援が必要な要支援者をどう守るのか。超高齢化社会の現実が住民たちに突きつけられている。九州北部地方を大雨が襲った2021年8月。長崎・西海市で1人暮らしの高齢者から「怖いから来てほしい」と頼まれた民生委員の女性が高齢者とともに用水路で死亡しているのが見つかった。災害時に地域や身近な人同士で助け合う共助の危険性が指摘されている。鹿児島大学・井村隆介准教授は「顔が浮かんでしまう関係ができていると、見捨てるわけにはいかないという気持ちも非常によく分かるが、自分の命が確保されないと助けることもできない」と語った。専門家は、自分の身を守る「自助」の重要性を改めて訴える。ただ一方で、高齢化が進んだ地域では共助に頼らざるをえない現実がある。
4年前、豪雨で25人が死亡した熊本・球磨村。そのうち24人は要支援者だった。今年も梅雨入り前に、大雨の際の避難行動を確認する訓練が行われた。川と山に挟まれた那良地区の高齢化率は70%に上り、全12世帯のうち5世帯に要支援者がいる。94歳の女性は、子供たちと3人暮らしだが、家に1人になる時間もある。そんなとき、もし災害が迫ったら。この村では避難の際に要支援者をサポートする支援者を決めた名簿を作成。女性の支援者になっている隣に住んでいる66歳男性は、訓練の放送が聞こえるとすぐに様子を見に行った。女性を息子と2人がかりで車に乗せ、避難所へと向かった。一方で、自分の身に危険が及ぶかもしれないとき、どこまで支援できるのか。支援者の胸の内には迷いもある。助け合って生きる住民たちに難しい判断が迫られている。
4年前、豪雨で25人が死亡した熊本・球磨村。そのうち24人は要支援者だった。今年も梅雨入り前に、大雨の際の避難行動を確認する訓練が行われた。川と山に挟まれた那良地区の高齢化率は70%に上り、全12世帯のうち5世帯に要支援者がいる。94歳の女性は、子供たちと3人暮らしだが、家に1人になる時間もある。そんなとき、もし災害が迫ったら。この村では避難の際に要支援者をサポートする支援者を決めた名簿を作成。女性の支援者になっている隣に住んでいる66歳男性は、訓練の放送が聞こえるとすぐに様子を見に行った。女性を息子と2人がかりで車に乗せ、避難所へと向かった。一方で、自分の身に危険が及ぶかもしれないとき、どこまで支援できるのか。支援者の胸の内には迷いもある。助け合って生きる住民たちに難しい判断が迫られている。