八戸市博物館には南部直房の宝物が保管されていたが、学芸員ですらなにか分からないという。今回、博物学に精通する伊藤謙准教授、鉱物のスペシャリストである藤浦淳研究員らに協力を依頼した。特注したガラス容器に物体がおさめられ、最高級の標本であることは間違いないという。容器には黄銅鉱、ラピスラズリ、ターコイズ、止血剤になる赤石脂、麻酔薬にもなるマンダラゲなどが確認された。殿様が薬の知識を身につけるための、標本箱だった。江戸時代、天然痘やはしかなどの感染症が幾度も流行した。8代将軍の徳川吉宗は医療改革に乗り出し、栃木・鹿沼市では朝鮮ニンジンの人工栽培に成功。タネを全戸各地の藩に配り、栽培を奨励した。藩を運営する上で、薬の知識を持つことが殿様に必要だったという。
