中高年の起業が増えている。金融エンジニアだった58歳のAさんは退職金2000万円を元手に独立しラーメン店を開業したが、14カ月連続で赤字となり2年で閉店。Aさんは「キッチンカーでテストするべきだった」と悔やんでいる。中堅商社で営業部長を務めていた63歳のBさんは57歳でフリーの営業コンサルとして独立したが、人脈がなく開業半年で受注はなし。年金の繰り上げ受給と深夜のコンビニバイトで家計を支える日々となった。Bさんは「人脈づくりを後回しにしたのが最大の誤算」と後悔したという。一方で、メーカー営業の61歳のCさんは部長職から嘱託社員に降格したが、58歳で独立し営業支援会社を開業すると取引先や趣味の人脈から契約がもらえた。Cさんは「専門性と信頼があれば道は開ける。降格は退場宣告ではなく第二ステージへの招待状」と話している。BEYOND AGE・市原大和代表は知らない分野よりも得意分野で挑戦するのが成功するカギと話す。また、「履歴書や職務経歴書など自分を語れるものは常にアップデートすることで資料が営業してくれる。生きる人脈は仕事外から生まれる。長い目で関係性を作っておくべし」と話した。「NO YOUTH NO JAPAN」代表・能條桃子は「定年後の生活資金をすべて注ぎ込んでしまうと危険」などとコメントした。