ニューヨークから大和証券CMアメリカの髙橋諒至が解説する。ソフトバンクグループ傘下の半導体設計大手・アームが24日、初の自社製半導体のAGICPUを発表した。アームはこれまで、半導体の開発や設計に利用されるIPと呼ばれる設計図を主にスマホ業界向けに提供する企業だったが、今回発表したAGI(汎用人工知能)の時代を見据えたCPU戦略はその立ち位置を大きく変える。AGIには膨大な計算を長時間、電力効率よく処理できる計算基盤が欠かせないが、アームは自社の技術が極めて適合すると強調。スマホ中心のIP企業からAI時代を担うCPUメーカーへの進化が今回のメッセージ。新事業に関する業績見通しでは、戦略転換を裏付けるように業績面でもかなり踏み込んだ見通しを示した。5年以内に新事業を含めた年間売上を約250億ドルまで成長させるとしたほか、EPSについては9ドル程度まで引き上げる目標を掲げた。野心的な計画の鍵を握るのが、ソフトバンクグループの孫正義氏。孫氏はAGIの時代が来ると語り続け、アームを中核に据えてきた。日米首脳会談の夕食会で、孫氏がトランプ大統領の隣に座っていたことも話題になっている。国家戦略が絡む分野で孫氏が強い存在感を持っていることを印象づける場面。民間企業が急ピッチでデータセンター建設を進めているが、国家レベルでもAIの計算基盤が整備されれば、中心で使われるCPUなどの需要は大きく膨らむ。アームの技術力に孫氏による政治との距離感が加わることで、アームの設計が標準として広く使われる環境が一気に整う。国家戦略の方針転換があるとリスクが伴うというところには注意が必要。
