アメリカでは2010年に「コモンコア」と呼ばれる全米共通の学習基準が導入された。州ごとに異なっていた教育基準を統一し、幼稚園から高校卒業までの間に大学進学や就職に向け、より適切な準備ができるように組まれたカリキュラムとなっている。「コモンコア」では数学や読解力に重きをおいており、それまで一般的だった筆記体教育が省略された。しかし筆記体教育を受けなくなったことで主に筆記体で書かれている歴史的な文書や古い公式文書を子どもたちが読めなくなってしまったという。1787年に制定された「アメリカ合衆国憲法」も筆記体で書かれており、見た子どもが驚くというケースもあったという。さらにOECDが行う「学習到達度調査」でアメリカは「コモンコア」で重きをおいていた数学の成績が低下傾向にあり、2022年には平均を下回る過去最低点となり、参加したOECD37か国中28位となった。こうした中、教育者らが目をつけたのが「筆記体」だった。近年、筆記体教育は「脳を活性化させる」との研究結果が報告されているという。インディアナ大学の研究では、「文字を書くときには同時に読書で使う脳の部位が活性化する」、ワシントン大学の研究では「活字体と筆記体では書く際に脳の別の部位が使われる」ということが分かった。こうした研究結果を背景に、「筆記体教育が学習そのものの促進につながる」としてカリフォルニア州などが筆記体教育を義務化させる動きになったという。末延さんは「日本での最近の漢字に弱いっていうのに似ていると思う。ネットばっかりやっていちゃダメ。読んで書かないと」、吉永さんは「書くということをしなくなったので、書くことで刺激されていた脳の部分があったということ。日本も今ほとんど書かないので、便利さの中で必要がなくなったものが何故必要だったのかと考えないといけない」などとコメントした。