観測装置の工事を託されたのは普段電話やインターネットなどを海底ケーブルで繋ぐ通信会社だった。3つの会社が同時並行で工事を進めることで5500kmに及ぶ観測網を短期間で作り上げようとしていた。KDDIケーブルシップの藤井は震災直後はネット環境を復旧すべく海底ケーブルの修理に奔走してきたが、今回の計画には激しく戸惑った。工事の壁となったのが巨大な観測装置。地震計と津波計を複数搭載することで大型化していた。そのため埋設機が使えずライバル会社のNTTに協力を仰ぎ、埋設機の改造を行った。そして2013年7月に工事が始まり、2017年3月に観測装置150基の工事が完了。世界最大規模の観測網S-netが完成した。S-netにより緊急地震速報は最大30秒、津波の検知は最大20分早まった。その力は相次ぐ地震で発揮されている。今年4月の三陸沖の地震では緊急地震速報が9秒早まった。また、海底で捉えた地震の情報は緊急地震速報を介さず鉄道会社に直接送られる。その仕組で緊急地震速報より12秒早く警報を出力。東北新幹線8本を緊急停止させることができた。
