和歌山県の発射場から東京のベンチャー企業「スペースワン」が打ち上げたカイロス3号機。射点から1kmほど離れた「総合司令塔」の一室は一見普通の仕事部屋のように見えるが、管制室の近くで打ち上げ業務の最前線を担う重要な部屋だ。ここでは若手エンジニアたちのチームが最新の気象状況やロケットのデータをリアルタイムで解析。今回、特別にNHKのカメラを設置した。打ち上げから約10秒後、燃焼ガスの音や振動が室内にも伝わる。しかし約1分後、爆発のような煙が。そのときエンジニアたちは深い溜息をついた。その後、機体は回転しながら姿勢を崩し、打ち上げは失敗となった。チームの責任者・河原大樹さんはカイロスが日本で初めて導入した安全な打ち上げに欠かせないあるシステムの開発も担当している。通常、ロケットは打ち上げられたあと、異常が起きた場合でも人が暮らす場所などに落下しないよう機体を破壊する必要がある。これまで日本のロケットでは地上の施設から司令を送り、機体を破壊していた。しかしカイロスでは全く新たな方法を採用。地上からの司令がなくても搭載のコンピューターが異常を検知し、自動で機体を破壊する「自律飛行安全システム」が導入されている。これにより打ち上げに関わる要員を減らすこともでき、打ち上げコスト削減につながることが期待されている。ところが3号機の失敗にはこのカイロス特有のシステムに原因がある可能性があるという。カイロスでは確実に機体を破壊するためシステムを2つの系統にわけ、それぞれロケットの状態を監視する。3号機の飛行中、この片方のシステムに何らかの故障が発生。それをもう片方の系統が「異常」と判定し、飛行中断につながったと見られている。河原さんたちが参加し、原因究明を行う対策会議が行われた。製造時の記録や試験結果などを確認しながら検証を進め、今回の事象が起きた原因を究明することにしている。河原さんは「自律飛行安全のよさが必ず日本の宇宙産業を競争力あるものにする、盛り上げるために必要な要素となってくると思うので、その先駆けとなるようなものをつくっていきたい。今度こそは絶対に大事にものにするぞという意気込みで取り組んでいる。」などと語った。期待されながらも失敗が続くカイロスロケット。次の4号機の打ち上げ時期はまだはっきりしていないが、確実な検証を行い、成功に導くことができるのか、正念場を迎えている。
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URL: http://www.nhk.or.jp/osaka/
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