お好み焼きの味の決め手に欠かせないソース。その新商品の開発にAIを活用している企業を取材した。お好み焼き用などソースの国内トップシェアを誇る広島市のソースメーカーでは、大手機械メーカーと共同開発したAIを1年ほど前から導入している。このメーカーは自社商品のほか、コンビニやスーパーなどの求めに応じた新商品を年間百数十件開発している。例えば、深みやコクのあるソースを開発するためにキーワードを入力すると、AIが過去に手がけた商品や試作品の中から近い味のものを瞬時に提案。さらにソースの塩分や粘り気といったデータも具体的に示す。新たな味のソースを開発する際、過去の商品を参考にするため、これまでは探すのに時間がかかっていた。経験が少ない若手社員が担当すると、何日もかかることがあった。AIには過去10年分の1万5000件のデータを読み込ませている。これによって、開発にかかる時間を飛躍的に短くすることができるようになった。ただ、最終的に商品に仕上げるためには、人の力も必要。AIが導き出したレシピをもとに、味を足したり引いたりして新しい味を生み出していく。会社では、開発のスピードをさらに上げるため、多くの味のデータをAIに読み込ませて、提案力を一段と高めていきたいと考えている。会社はソースだけでなく、今後はタレや酢などの商品開発でもAIの活用を検討している。