タイで広がる遠隔医療について取り上げる。コロナ禍で遠隔医療の利用が進んだが、タイではコロナ禍の後も救急などの分野でこの技術を本格活用する動きが広がっている。バンコクの病院では医師と遠隔でやりとりができるスマート救急車が導入されており、患者の映像を共有することで搬送先の病院から救急隊に処置指示が可能。背景にはバンコクの渋滞問題があり、車内でいち早く処置することで患者の救命に役立つという。遠隔医療は医療体制が脆弱な地方部にも広がろうとしている。タイでは地方に医師が少なく妊婦健診などが受けられないケースがあり、妊産婦の死亡率は日本の7倍、新生児は6倍と高い。そこで去年リモートで妊婦の健診を行う医療機器が導入された。日本のスタートアップ企業が開発したもので、妊婦のデータを離れた拠点病院に送ることができ、医師から検診結果などが伝えられ、早産などのリスクにいち早く対応できるという。新興国や途上国では遠隔医療が医療格差の切り札のひとつになると期待されている。