JAXA(宇宙航空研究開発機構)などが開発した無人探査機「SLIM」はことし1月、日本として初めて、世界でも旧ソビエト、米国、中国、インドに続く5か国目となる月面着陸に成功し、従来は数キロメートルだった目標地点との誤差を55メートルにとどめる「ピンポイント着陸」を実現した。「SLIM」はおよそ2週間ごとに訪れるマイナス170度の“月の夜”に耐える設計にはなっていなかったため、当初の計画では、着陸後数日間で月面のデータを取得し運用を終了する計画だったが、実際には“月の夜”を3度越え、4月末まで通信することができていた。5月以降もプロジェクトチームが「SLIM」との通信を試みていたが、確立できなかったことから、JAXAは“機能を停止する信号を送り運用を終了した”と発表した。「SLIM」はこれまでに、月面を撮影した画像データを送信しているほか、特殊なカメラで10個の岩石を観測し、データを解析した立命館大学などは“月の起源を探るうえで重要な手がかりとなる「カンラン石」の存在が確認された”と発表している。JAXAは“引き続き探査機から得られたデータを解析し、改めて探査の成果を報告したい”としている。