NY証券取引所から、SMBC日興セキュリティーズ・アメリカの井野口志保さんが解説。議会上院の共和党は、いわゆるトランプ減税を含む2025年度の予算決議案を今週末にも可決する見通し。下院が2月に可決した議決案には、今後10年間で4.5兆ドルの大規模な減税を賄うため、約2兆ドルの歳出削減などが盛り込まれている。予算削減の対象となるのは、低所得者向け医療保険制度のメディケイドや、低所得者向け食料支援のフードスタンプなどになる可能性が高いとみられる。予算削減により、これら企業が政府から受け取る資金が減少すれば、事業悪化につながり、一部企業でコスト削減のために従業員や給与を削減する可能性があり、経済や労働市場に悪影響を与えると考えられる。一部の調査では仮にメディケイド予算が10年で8800億ドル削減された場合、2026年には全米で88.8万人が雇用を失い、医療関連だけでなく製造業や小売、建設業などにも波及すると指摘されている。上院の決議案次第では今後の労働市場の減速につながる可能性もある。