- 出演者
- 矢内雄一郎 大浜平太郎 パックン 平出真有 中原みなみ 小川佳紀 諸我晃 大槻奈那 森田長太郎
オープニング映像。
前日に発表されたアメリカ・トランプ大統領による相互関税を受け、3日のニューヨーク株式市場では、ダウの下げ幅が1600ドルを超えた。ナスダック、S&P500もともに大幅下落となり、一日の下落幅としては、コロナ禍の2020年以来最大。経済情報としてダウなどの値動きを伝えた。ダウでは相互関税の税率が高い地域に生産拠点を置くナイキやアップルが大幅下落。テスラやエヌビディアなどハイテク株も軒並み売りに押されている。円高ドル安が進んでいる。アメリカ・ラトニック商務長官はテレビのインタビューで「トランプ大統領が関税を撤廃することはない」と明言し、各国の非関税障壁にも触れ「為替操作をやめるべき」として、日本などを念頭に通貨安誘導への批判を一層強めている。
アメリカ・トランプ大統領が全ての国に一律10%の関税を課し、国ごとに税率を上乗せする相互関税を発表し、世界が反発している。カナダ・カーニー首相はアメリカ製の完成車に25%の報復関税を表明。カナダで生産を維持する自動車メーカーを支援すると述べ、「関税が撤廃されるまで戦う」と強調。フランス・マクロン大統領は、国内の企業トップらと会談し、関税への対抗措置として企業にアメリカでの投資停止を要請した。企業も反応。自動車大手・ステランティスは、カナダとメキシコの2工場で生産を一時停止すると明らかにした。これに伴いアメリカやカナダで働く従業員5000人以上が一時解雇される。スウェーデンの自動車大手・ボルボカーは、アメリカ・サウスカロライナ州の生産を増やす方針を示している。
ニューヨーク証券取引所からSMBC日興セキュリティーズアメリカ・井野口志保が解説。3日のニューヨーク株式相場について相互関税発表で、貿易戦争が警戒され、サービス業の低調な景況感もあいまって全面安となった。関税引き上げに伴い、景気が減速するとの懸念から、債券市場では、10年国債利回りが急低下。大型ハイテク株や小売株などの下落が目立った一方、生活必需品などディフェンシブ株が買われた。ラッセル2000指数は高値からの下落率が20%を超え、弱気相場入りした。相互関税によって市場ではスタグフレーションリスクが高まり、年内4回の利下げ織り込みが進んだ。靴や衣料品などの企業の一部は、相互関税の税率が高い国で製造していて、サプライチェーンが打撃を受ける可能性がある。一部金融機関(JPモルガン)の予想では、2025年の個人消費支出物価指数が最大1.5ポイント押し上げられ、年半ばにも関税の影響が表面化するとの試算も出ている。トランプ大統領が半導体や医薬品を対象に別の関税を計画しているなど、不確実な部分も残る。市場では、昨日の関税率が上限の場合、各国が交渉で関税率を引き下げる余地とあるとみられ今後の展開が注目される。トランプ大統領は相互関税の署名と同時に、輸入貨物の申告額が800ドル未満の場合に関税を免除する、これまで抜け穴とされていた「デミニミスルール」につて、中国、香港への適用を5月2日に終了すると発表。「デミニミスルール」で昨年、アメリカに届いた貨物は約14億個に達したとされ、違法薬物の流入に悪用されてきたとの批判がある。今後800ドル未満の貨物は、価値の30%、または1品目当たり25ドルの関税を支払う必要があり、6月1日以降はさらに増額される。相互関税に加え、アメリカの更なるインフレ要因となる可能性があるうえ、中国経済では輸出量の押し下げとGDP(国内総生産)下方修正リスクが想定され、世界経済の成長減速を招く恐れがあるなどとニューヨークから伝えた。
その他のマーケットの値動きを伝えた。
マーケットでスタグフレーションへの懸念が広がる中、マクロ経済を分析する専門家はどう見ているのか。取材したエコノミストはFRB)の動きがカギを握るとみている。ノムラセキュリティーズインターナショナル・デイビッドシーフ氏は「相互関税は我々の予想も市場の予想も超える規模で、間違いなく経済成長に打撃。ただ景気後退になるとは思わない。今年のアメリカのGDP成長率は1%未満にとどまるだろうが、本格的なマイナス成長に陥るとは考えていない」と述べた。アメリカのGDPについて、輸入が減少すれば、押し上げられることから、表面上プラス成長が続くとみている。ただ実体経済の活力はそがれると警告。シーフ氏は「アメリカのGDPの7割は個人消費。今後は個人消費の伸びがGDP全体の伸びを下回る可能性がある。アメリカ国民にとって成長を実感できない状況になるかもしれない」と述べた。気になるのがFRB)の動向。相互関税で金融政策はどう変わるのか。氏は「相互関税による物価上昇圧力は、10−12月期までにはある程度緩和するだろう。いきなり高い関税が課されのは、経済に急激なショックを与えるが、同時にショックは短期間で収束するだろう。状況が落ち着けばFRBは12月にも利下げを再開できるだろう。その後も金利を引き下げ、最終的に3%台半ばに到達するとみる。FRBは期待インフレを2%で固定し、相互関税による一時的な物価上昇がサービス価格や賃金上昇の加速につながるような危険な状況を防がなければならない」。関税への警戒で軟調に推移する株式相場。過去の調整局面では、トランプ大統領が株価を支えるため、口先介入するケースもあった。シーフ氏は「トランプ大統領が関税であまり譲歩せず、FRBもすぐには利下げしないとみている。「トランププット」や「FRBプット」は短期的には期待できない。大統領もFRBも介入しなければ、株式相場はさらに下落する余地はある」と述べた。
オールニッポン・アセットマネジメントの森田さんと岡三証券の小川さんがゲスト。
小川佳紀さんがスタジオで「S&P500、ニューヨークダウより、半導体、ハイテク株の下げがきつかった。リスクオフの環境では利益が出ているものが売られやすい。株式市場が一番嫌うのは不透明感。関税が景気に与える影響、企業業績に与える影響が読みづらい、不透明な環境ではもう少し調整、時間がかかる可能性はある」と話、先物は今日も大幅下落になりそうか?について「今日もきのう同様に、日経平均は1000円近い下げもあり得るのでは。昨年8月も大きな下げがあった。今回はファンダメンタルズの悪化を織り込みながらの下げで前回とは少し違うのでは。値幅調整は一定程度進んだと思うが、ここからは日柄の調整局面。戻りも昨年に比べると鈍くなってくるとの印象がある」などと小川さんは解説。
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アメリカのサービス業の景況感を示す「3月ISM非製造業景気指数は前月比50.8。2.7P低下した。。去年6月以来、最も低い水準で、市場予想53.0も下回った。雇用が好況と不況の分かれ目の50を下回っている。
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アメリカの雇用サービス大手・チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した3月の人員削減数は、27万5240人と前月比60%増加し、新型コロナの感染が拡大していた2020年7月以来の高水準となった。発表元は「ほとんどが政府効率化省が推し進める連邦政府職員の解雇」で、その他の人員削減は限定的だったとしている。政府機関職員は過去2カ月で28万人以上削減されている。
OPEC(石油輸出国機構)の加盟国にロシアなど非加盟の産油国を加えたOPECプラスは、7月に計画していた供給拡大を5月に前倒しすると発表。「健全な市場環境を踏まえた」と説明していて、供給拡大で収入を増やす狙いがあるという。発表を受け、3日のニューヨーク原油先物価格(WTI原油先物価格)は、6.6%の下落。
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後藤祐二朗が電話で解説。ドル/円予想レンジ:145.50円〜147.50円。昨日はトランプ政権の相互関税の詳細公表を受け、日本や中国などに対し想定以上の高関税がかけられるとの懸念から、株安に伴い円がほぼ全面高の展開。米国株は下げ止まっておらず、本日の円相場も株価の動向をにらみながら荒い値動きとなり、上値は重そう。注目ポイントはパウエルプットに期待できるか?。パウエルプットとは、相場下落時にFRB・パウエル議長が発言などを通じ、市場支援に乗り出すこと。本日はアメリカ雇用統計とパウエル議長の講演が予定される。雇用統計がアメリカ景気への懸念を払しょくできるか、パウエル議長が市場心理を安定させられるかが焦点だがパウエルプットへの過度な期待は禁物だと為替について解説した。
10年国債の値を伝えた。
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世界の株価の値動きを伝えた。
小川佳紀さんがスタジオで解説。日経平均予想レンジ:3万3700円〜3万4200円。アメリカ株大幅安で改めて売り直される展開になるのでは。アメリカの雇用統計発表があり、日米とも決算発表も予定されている。今日は日経平均3万4000円近辺で戻りの鈍い展開になるのでは。注目ポイントは株価の源泉は「企業業績」。波乱相場は基本に立ち返ると考え、中長期的視点で考える、株価の源泉は企業業績の2つがポイント。例年、期初に発表される通期の業績計画は保守的になる。今期もトランプ関税の影響で製造業を中心に保守的な業績計画を発表する企業が増加することが予想される。あくまで期初時点の数字と割り切って捉える必要もあるのでは。短期的に株価の重しになる可能性はある。中長期的視点で考えると、例年保守的な業績計画を発表をする癖のある会社は、将来的な上振れ余地があるとの見方もできるのではなどときょうの株について解説をした。
モーター大手のニデックは工作機械大手の牧野フライス製作所に対し、予定どおり今日からTOB(株式公開買い付け)を始めると発表した。買い付け価格は1株当たり1万1000円で買収額は最大でおよそ2572億円。ニデックは去年12月、牧野フライスと事前協議をせずに完全子会社化を目指してTOB実施を表明した。TOBの延期を繰り返し求めてきた牧野フライスは「誠に遺憾であり強く抗議する」とのコメントを発表している。
三菱商事は昨日、2028年3月期に、ROE自己資本利益率で12%以上を目指す3年間の経営計画を発表した。この期間に4兆円以上の投資を実施し連結純利益を1兆2000億円に引き上げる考え。この他発行済株式のおよそ17%に当たる最大1兆円の自社株買いを実施する方針も表明。2026年3月期の年間配当も1株110円に10円増額し株主還元を強化する。
ハンガリーのオルバン首相は3日、ICC国際刑事裁判所がイスラエルのネタニヤフ首相に対しパレスチナ自治区ガザでの戦争犯罪などの疑いで逮捕状を出していることについて「政治的意図に基づいている」と批判しICCからの脱退を表明した。EUヨーロッパ連合加盟国の脱退は初めてとなる。ネタニヤフ氏がこの日ハンガリーを公式訪問し首脳会談を行ったがICCはハンガリー政府に対しネタニヤフ氏の逮捕と引渡しを求めていた。
きょうの予定:国内では2月家計調査が発表、上海、深センなどは休場。アメリカでは3月雇用統計が発表。トランプ政権の相互関税の公表をうけ、FRBパウエル議長講演に注目が集まる。