今月オーストラリアで成立した16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法律について。現地の反応や課題なども含めてシドニー支局の松田支局長に聞く。オーストラリアの学校は来年の2月から新しい学年になるが、中学生に新たになる子どもたちにスマートフォンを親が買い与えるということも多いよう。SNSの運営会社に16歳未満の子どもがアカウントを作れないような措置を義務付ける。対象となる見込みのSNSがインスタグラムやTikTok、Xなど。そして、違反した場合には運営側の企業に日本円で最大48億円の罰金が科せられることになる。一方で子ども自身や保護者には罰則はない。これに運営会社側は大きく反発をしているが、オーストラリアの世論調査によると77%の方がこの法律に賛成している。一人息子を今年1月に亡くした女性を取材。息子は13歳の時に自分が太っていると感じてSNSで情報を収集し始め次第に過度な食事制限や運動などのダイエットにのめり込んでいった。そして去年11月には身長180cm近い息子の体重は50kg以下に。入院を余儀なくされ退院して自宅で療養していた時にみずからの命を絶った。女性はTikTokなどのSNSで極端なダイエットに関する情報が繰り返し表示されたことで息子が強迫観念に駆られていったと考えている。現在は16歳以上であることを確認する方法の検討が行われている。オンラインで年齢を確認する方法は世界中で開発が進められており、手の動きから年齢を推定する方法もある。この他、顔から年齢を推定する方法もある。また、顔認証で未成年の可能性がある人にはIDカードの提示を求めるといった、いくつかの方法を組み合わせることも検討されている。また、個人情報が運営会社側に渡ることを懸念する人も少なくない。その他VPNを使えばオーストラリア国外からSNSにアクセスできるので年齢制限をかいくぐれてしまう。法律自体に根強い反対もあり、子どもの権利擁護団体は、子どもの「表現の自由や知る権利」を侵害しかねないとして、SNSを禁止するのではなくリスクを学ぶ方が大切としている。
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