趣味で作った音楽動画だったはずが後押しになった革命。2011年、アラブ諸国で広がった民主化運動「アラブの春」。リビアの元最高指導者カダフィ大佐とポップミュージックがリミックスされた動画。カダフィ大佐の独裁政治は町にある店の玄関を政権のシンボルカラー緑に塗り替えたり、議会制民主主義を否定する内容の自著「緑の書」を子どもたちの教科書に。そんな独裁に対し、反体制派が動き出すとカダフィ大佐は怒りをあらわにし、反体制派の家という家、路地という路地隅々まで殲滅すると宣言。この演説をニュースで見たというアーティストの投稿者はカダフィ大佐の言動は面白おかしいキャクターのように映ったと話した。あくまで音楽作品としてYouTubeに投稿。しかしこれが想像を超える事態に。動画再生数が1週間で100万回を突破、数日後にはたくさんの人からコメントが届いたという。動画はリビアの国中に広がった。カダフィ大佐は絶対的存在、という国民の意識に変化が現れ、積もりに積もった怒りが爆発したという。カダフィ大佐の威厳を守るべく、政権が動いたというが、動画の投稿から約8カ月、2011年10月、加速した反体制運動の末、カダフィ大佐は殺害され、42年にわたる独裁が終幕した。