“ダブケ”に込められた思い

2026年8月21日放送 4:43 - 4:53 NHK総合
国際報道 INTERNATIONAL NEWS REPORT

去年10月に停戦合意が発効した後も、イスラエル軍が断続的に攻撃を行っているガザ地区。現地メディアは19日も攻撃を受け10人が死亡したと伝えている。ジャーナリストの協力を得て、子どもたちを取材してきた。今回はこの夏子どもたちが通ったサマーキャンプの様子を伝える。そこで取り組んだのが、ダブケと呼ばれるパレスチナの伝統舞踊。この踊りは元々、結婚式などの祝いの場で披露されてきた。しかし、1948年5月、イスラエル建国に伴い、パレスチナの人々は土地を追われ、各地で難民となった。それ以降、ダブケは土地を追われた人々の連帯も意味するようになった。ガザ地区南部ハンユニス。各地で避難生活を送る子どもたちを対象に先月行われたサマーキャンプを取材出来ることになった。主催はこの地域で、子どもの教育支援を行っている複数の市民団体。およそ1か月のサマーキャンプで行われたのは、歌やゲーム、お絵かきなどレクリエーションが中心。特に時間をかけたのは、パレスチナの伝統舞踊ダブケ。イスラエルとの戦闘が始まって以来、子どもたちはダブケを見たり、踊ったりする機会を奪われてきた。この日、途中で練習をやめてしまう子どもがいた。ムハンマド・ダルウィーシュ君。うまく踊れないことを、友達にからかわれたことが原因だった。ダルウィーシュ君は練習会場まで徒歩30分かけて通っている。空爆があった地域も近く、通うのは危険と隣合せ。また家では配給の食事の受け取りや、水くみなど力仕事を任されている。そのため、サマーキャンプに通えない日も多く、他の子どもと比べて練習が遅れがちになっていた。心配した講師のダーヘルさんは、ダルウィーシュ君を訪ねた。父親が語ったのは、ダルウィーシュ君が戦闘で負った心の傷だった。避難生活で父親は仕事を失い、家族は配給だけが頼り。取材を初めて3週間。練習を再開したダルウィーシュ君は、少しずつ友達と動きが合うようになってきた。サマーキャンプ最終日、練習の成果をお披露目する発表会が開かれた。ダルウィーシュ君たちは、パレスチナの連帯を象徴するスカーフを身に着けて臨んだ。ダーヘル先生は「敵はあらゆる面から私たちを攻撃しようとする。私は文化や伝統を伝えることは一種の抵抗だと思っている。子どもたちを憎しみや復讐心から引き離し、将来役立つ知識や文化へ目を向けさせたい。」と語った。


キーワード
イスラエル国防軍ハンユニス(パレスチナ)ダブケ

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