国際報道 (SPOT LIGHT INTERNATIONAL:油井キャスター現地報告 3 )
ワシントンから中継。トランプ氏が就任前から繰り返し引き上げの考えを示している”関税”に関して油井さんに話を伺う。油井さんは「関税をめぐってはアメリカ国内のインフレ悪化への懸念があって、アメリカ国民の意見は分かれているが、トランプ氏としては関税によって外国からの輸入品の価格を引き上げることでアメリカ国内の製造業を活性化・復活させる狙いがある。この動きに世界各国からは警戒感が強まっている。トランプ氏がカナダ・メキシコからの全ての輸入品に25%の関税をかけると表明したことに対し、選挙後衝撃が走っている。カナダ・アメリカ・メキシコの3カ国は貿易協定を結んでいて、一定の条件で関税がかからない。このため、日本を始め、多くの海外企業は人件費がアメリカに比べて安いメキシコに生産工場の拠点を置き、メキシコからアメリカの市場に輸出してきた。しかしトランプ氏はアメリカ国内の製造業を復活させるため、メキシコではなくアメリカを生産の拠点にすべきだと主張し、関税を武器にメキシコとメキシコに進出している各国企業を揺さぶっている。その現場を取材した。」などと話している。
トランプ関税について、メキシコ中部のケレタロ州へ取材。ケレタロ州へは日本を始め、海外から自動車関連の部品メーカーなどが数多く進出している。現地の企業の間では、トランプ氏が関税導入を表明したことで、不安が広がっている。7年前メキシコに進出した日本の機械部品メーカーでは、製造工程を自動化するシステムを顧客に提案し、急速に売上を伸ばしてきた。現地法人のトップを務める加藤さんは、取引先にアメリカへの輸出を手掛ける企業が多く、関税導入の影響を懸念している。トランプ氏の大統領就任を控え、加藤さんは今情報収集におわれている。取引先のひとつであるドイツの機械部品メーカーは自動車関連の機械の設計から製造までを行い、一部製品は関税無しでアメリカに輸出している。マネージャーのグスマン氏は「アメリカとメキシコは非常に緊密な関係が長年続いてきた。誰も必要のないリスクは取らないと思う」などと話している。企業の幹部は、関税が導入されるとアメリカの消費者も打撃を受けることから、両国の大統領同士の交渉によって解決する可能性もあると考えている。その一方で、関税の影響を受けないアメリカ国内に製造拠点を置く計画をたてているという。加藤さんは「アメリカ国内で作ろうという動きがでてくると、メキシコで作るといったアドバンテージが薄れてメキシコ企業の需要が少なくなっていくことがあり得る。」などと話した。メキシコ・中国企業合弁トラックメーカーでは、メキシコ国内に販売拠点を巡らせて、去年の販売台数は前年の3倍近くになっている。強みはメキシコ軍にも採用されている高い信頼性にあるとみられていて、保護主義的な政策を強めるアメリカを避け、中南米への輸出を検討すると話している。