ワールドビジネスサテライト WBS X
国内生産の再開に向けて動き出したMeiji Seikaファルマ。ペニシリン系抗菌薬の原薬の生産に向けた準備が進んでいた。ペニシリンを作り出すアオカビを効率よく培養するためには大型のタンクが必要だという。このタンクが2基稼働すれば国内需要を賄えるという。1994年まではこの装置を使ってペニシリンの原薬を作っていた。そして今が再開の最後のチャンスと言われる理由が技術者の存在。山田浩一郎さんは1984年に入社し生産を中止するまでの10年間製造に携わってきた。量産を手がけた技術者がまだ残っていたことが30年ぶりに再開する決め手だった。165トン槽を滅菌するためには高圧の蒸気を大量に使用するため、自動では配管などに負荷がかかり設備を損傷する可能性があるという。そのため、タンクの特性を知る職人技が必要になってくるとのこと。そして生産を担う若手の育成にも余念がない。ベテランの技術を伝えるとともに、2025年度の本格稼働を目指す。しかし課題も。生産や培養後の廃液の処理などに多くの電力を使うことなどから、中国と比べると製造コストは5倍以上になる。一方、医薬品は公定価格のため、製造原価に見合う値段をつけることができないという。