時論公論 (時論公論)
年末恒例のプーチン大統領の国民との対話が行われた。ウクライナでの戦争について軍事侵攻の目的は達成しつつあるとしたうえで「常に交渉と妥協の用意がある。しかし相手側が交渉を拒んだ」と述べた。今年6月、交渉開始の条件として東部4州からウクライナ軍撤退・中立化への意思を突きつけている。注目は「目的は達成しつつある」としていることで国民に向けた戦争の集結が近いとのメッセージともとれる。プーチン大統領は交渉を拒否しているのは相手側と主張を繰り返すも、まず停戦・そして交渉のトランプ次期大統領に対してこの主張が通じない。国民感情というプーチン大統領の強みと弱みを巧みに突いている。和平交渉が始まっても安全保障と領土で厳しい交渉が予想される。プーチン大統領は和平の条件としてウクライナの中立化・非武装化、クリミアと東部4州をロシア領と認めるよう繰り返し求めている。ウクライナにとって許しがたい領土も安全保障もという強硬な要求だが、ロシアにとって安全保障より重要で領土とNATO加盟の交換は受け入れないという。一方、ウクライナは強固な安全保障、領土の一体性の回復も求めている。トランプ次期大統領らは妥協案の検討を進めている。妥協案ではウクライナのNATO加盟は一定期間諦めることや安全保障は平和維持軍あるいは2国間の条約、占領地はロシアが実効支配で法的にはウクライナ領土。強硬なロシアとの極めて困難な交渉が予想されている。気になるのは北朝鮮との軍事協力がどこまで深まっているか。韓国とウクライナの情報ではロシア・クルスク州に1万人規模の北朝鮮兵士がいて一部すでに戦闘に参加していて、アメリカも確認している。プーチン大統領は肯定も否定もせず曖昧戦略を続けている。今後は条約に基づく正式は派兵として認める可能性もある。