報道ステーション (ニュース)
石破首相の電撃的な辞任表明から一夜、自民党総裁選は来月4日に実施する方向で最終調整されている。石破首相が辞任を表明した昨日の会見で繰り返したのは、無念の思いだった。ではなぜ身を引くことになったのか。石破氏が自民党総裁に選ばれたのは去年9月のことで、5度目の挑戦でようやく掴んだ宰相の座だった。直後の国会では、所信表明演説で「勇気と真心をもって真実を語り、国民の皆様の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意」と述べた。ところが石破首相は戦後最短、就任から8日での解散総選挙に打って出た。新政権の勢いがあるうちに選挙を行うべきだという、党内の要求に抗えなかった。今にして思えばこれが終わりの始まりだった。待っていたのは少数与党の政権運営で、石破首相は自らの置かれた状況を「これ以上ないほどまでに誠心誠意説明をして、多くの国民の皆様方に『政府の言うこともっともだね』と思っていただく環境を作らなければ、野党の方々に賛成してもらえるとは思っていない」などと語っていた。しかし国民民主党が主張した「年収103万円の壁」や、日本維新の会が掲げる「高校授業料の無償化」など、予算案や法案への賛成を取り付けるためにはこうした政策を受け入れるしかなかった。その過程で政権の体力はじわじわと奪われ、石破カラーが入り込む余地は無くなっていった。加えて党内基盤が依然として弱く、かつて気脈を通じた仲間からも最後は辞任を求められる事態となっていた。結果実現できなかったことは「日米地位協定改定」「選択的夫婦別姓」「政治とカネ」などで、少なくない人たちが「石破首相ならできるのではないか」と期待していたことでもあった。直近の報道各社の世論調査では、軒並み「辞任は必要ない」という声が多数になっていた。石破首相は昨日の会見で「どうしたらよかったのかな、という思いはある」などと述べていた。
