クローズアップ現代 「子どもがいない」が言えない… 広がる不妊治療の陰で
晩婚化や医療技術の発達で増加している不妊治療。体外受精の実施件数は保険適用や助成金の拡充もあり年間54万件にのぼる。今や4.4組に1組が不妊治療をする中で今回、不妊治療に関する声を募集した。当事者の生きづらさはなぜ生まれるのか?
不妊治療を行う医療機関には今40歳以上の女性が増えている。沖縄にあるクリニックには年間5000人以上の40代女性が訪れる。不妊治療を受ける41歳女性はこれまで自費で治療を受けていたが、保険適用で今は3割負担で受けている。この日、治療の結果を主治医から伝えられた。今強い焦りも感じるようになっているという。不妊治療の保険適用は42歳まで。42歳を迎える来年は自分にとって決断のタイミングだという。このクリニックには保険適用の年齢が過ぎた人も少なくない。8年間治療を続ける47歳の女性。一般的に不妊治療を受けた人の出産率は年齢とともに低下していき、40歳で10%、42歳で5%になる。国は医学的な理由で保険適用を42歳までと定めている。医療が進歩し、高齢出産が増える中で納得いくまで続けたいと考えている。
不妊治療の終え方が分からないという夫婦もいる。夫は精子の数が少ない乏精子症と診断されている。夫婦で不妊治療を行ったが流産も経験、保険適用の制限である42歳を過ぎたため、一度はやめる決断をした。しかし、夫婦で将来について話し合う中で妻が治療の再開を提案した。不妊治療の再開は経済的にも体力的にも負担がかかるが、子どもができた後の家族像をイメージして前向きに取り組んでいる。でも、いつまで治療を続けるのか先のことは話し合っていないという。不妊治療を断念した人の心には大きな負担がかかっていることが分かった。40歳から60歳未満の不妊治療を経験した女性の36%がPTSDの症状を抱えている可能性が高いという。研究を行った香川香さんは子どもが産みやすい制度や環境が充実することは良いことだと考えている。その上でどう治療を終えるか心のケアの整備が必要があるという。