ニュースウオッチ9 (ニュース)
介護の人手不足解消につながるのか、介護業界全体の有効求人倍率は、令和4年度に3.88倍だったが、訪問介護では15.53倍で、深刻な人手不足となっている。介護を必要とする人が今後も増えると見込まれる中、国は外国人材の活用を拡大する方針を決めた。東京・江戸川区で訪問介護の現場に同行。ヘルパー歴19年・越間美知子さん75歳。訪れたのは、週に3回利用している54歳の男性。脳の病気で半身まひなどがあり、日常生活の一部で介助が必要な要介護1に認定されている。入浴の介助をしたあと2日分の衣類を洗濯。買い物に一緒に出かける。コンビニで軽食を買う支援など90分の訪問サービスを行った。越間さんはこうした訪問介護を1日4件ほど担当。越間さんは「もう少し若い人が増えてくれるといい。若い人の方が力がある。いろいろなことができる」と語った。この事業所では、月1000件ほどの訪問介護を25人ほどのヘルパーで対応。介護のニーズは、この先もさらに高まる見通し。介護職員の数は、2年前には215万人だったが、2040年度には280万人が必要になる見通しで、人材の確保が急務となっている。中でも人手不足が深刻なのが、訪問介護の現場。厚生労働省はきょうの審議会で、これまで認められていなかった外国人材も条件を満たせば従事を認めることを決めた。早ければ来年度にもサービスが始まる見通し。介護サービスに従事できる外国人の在留資格は主に4種類。このうち訪問介護が認められているのは、在留資格介護の約9000人と、EPA(経済連携協定)に基づいて入国した人のうち、介護福祉士の資格を持つ700人余に限られていた。今後は、特定技能や技能実習などの外国人約5万人が、訪問介護に従事できるようになる。条件として介護職員初任者研修を修了すること、さらに介護事業所には、外国人材に日本の生活様式やコミュニケーション方法を学んでもらう研修の実施や、一定期間職員が同行して必要なトレーニングを行うことなども求める。9年前、EPA(経済連携協定)に基づいて来日したフィリピン人の女性は、施設での仕事を経て、介護福祉士の資格を取得し、4年前から名古屋の訪問介護の現場で働いている。女性は「高齢の方々なのでいきなり外国人がはいると心配するだろうと緊張した」と語った。施設とは違い、1対1で介護をすることが多い訪問介護の現場。対応に困ることもあったという。事業所では、一定期間、現場に日本人のヘルパーを派遣し、ヴィクトリアに仕事に慣れてもらうことを優先。今ではリーダー的な役職まで任されるようになり、事業所にとって欠かせない人材となっている。上司・山本智也さんは「しっかり守ってあげられる態勢。相談してもらえる環境づくりはいちばん大事」と語った。外国人材を生かしていくために必要な対応について、城西国際大学・清水正美教授は「それぞれ生活様式の違う家にうかがい1対1で柔軟な支援が求められる。緊急時、事故発生時の対応が懸念される。緊急時を想定した事業所内での研修など積み重ねていくことが大事」と語った。また小規模な事業所への支援も必要だと指摘する。清水教授は「小規模事業所では、慢性的な人手不足という状況。人的、財政的な支援の検討が早急に求められる」と述べた。