午後LIVE ニュースーン 蔵出しセレクション
詩画作家・星野富弘さんは、24歳のとき、不慮の事故で手足の自由を失った。口に筆をくわえて四季の草花を描き、言葉を添える。昭和21年、群馬県に生まれた。大学では、体操選手として活躍し、卒業後、中学校の体育教師になった。2ヶ月後、クラブ活動の指導中に首の骨を折る大ケガをした。生死の境をさまよい、病状が回復しても、首から下は全く動かなかった。入院2年目、同じ部屋の子が転院したとき、寄せ書きしたのがきっかけで文字を書いた。友人たちからの手紙が入院中の救いになり、星野さんは自分で返事を書きたいと、練習を始めた。一枚の紙を文字で埋めることは難しく、余白を埋めるために枕元にあったお見舞いの花を一輪描いたことがきっかけで、詩画というスタイルが確立していった。昭和54年、9年におよぶ入院生活を終えて帰宅した。その後、初めての詩画集を出版した。退院後に結婚した妻の昌子さんが作品づくりをサポート。色を星野さんが指示し、昌子さんが何度も紙に塗って決める。創作は、1日に1~2時間が限度だという。多くの詩画集を発表し、海外でも作品展を開いた。平成3年には、作品を集めた美術館が地元にオープンした。これまで700万人以上が訪れ、生きる勇気などをもらったという感想が多く寄せられた。星野さんは、絵も詩も、欠けたようなもののほうが一枚の紙で合わさったときにピタッといく、弱さというものを隠さないで、社会というものを作っていけたらもっといい世界ができるような気がするなどと話した。