日本のチカラ 日本のチカラ
山形県山形市の美容室は病気による脱毛をサポートしている。抗がん剤治療で脱毛に悩む女性が相談にやってくる。オーナーは美容師歴30年の佐藤千草さん。週に1度、がん患者の美容サポートを行う。相談の多くは抗がん剤治療による、脱毛の悩み、医療用ウィッグの注文。店には抗がん剤治療が終わり、ウィッグを外すために育毛メニューをうける治療者がいる。2020年から取材を始めたころは新型コロナが猛威を振るっていた。まとめたばかりだという三冊のアルバム。そこには1年に及ぶ闘病生活が写真と文章で綴られていた。異変は2019年の46歳に健康診断で見つかった。すぐに再検査をし、乳がんと診断された。リンパの転移はなく、ステージ1。この時子どもは小学生で、どうやって子どもたちにこの事実を伝えようかと悩む様子があった。
佐藤さんの腫瘍の摘出手術が行われ、家族が付き添って応援してくれていたという。そして抗がん剤治療を開始し、ココからの半年間が大変だったという。佐藤さんは髪の毛がなくなっていくことにショックだったと答えた。抗がん剤でガンの増殖をおさえたりがん細胞をおさえたりするこの治療は皮膚は毛根の細胞が壊してしまうリスクも。生きていくために家族にお願いをしたことがあるというが、自分からスキンヘッドにしたいから手伝ってほしいとお願いし、家族で断髪式を行った。夫も一緒に髪を剃ってくれ、夫婦で闘おうと激励し夫婦で今も髪の長さは一緒。抗がん治療を初めて3週間後、手探りでウィッグを被った。しかしその当時はオシャレとは程遠く、いい思い出はなかった。肌荒れがひどく生きるのに精一杯だったと綴っていた。
ぞうした自分の経験にをいかして同じ病気で悩む人に力になりたいと考えた。ガンと闘って1年、佐藤さんは美容サポートを開始。この日、ウィッグを買いに来たお客を取材した。山形市に住む伊藤恵美さんは、卵巣がんが見つかり、その時はすでにステージ3だった。病と戦いながらも仕事は続けていくという。ウィッグでオシャレにしたいと提案したのは髪の毛の断髪。その上からウィッグを被ったが海外で暮らす家族にガンになったことを言えないでいるという。去年にがんと闘って5年になった。店では佐藤さんの高校生の長女が手伝っていたが美容師として働く母の姿に憧れを抱いているという。一方で心配なこともあり、母が抗がん剤の影響でつらそうだという。平日の朝は5時半、弁当作りから行う。この日、検査に臨んだ佐藤さん。乳がんの再発率は3割といわれ、お客との食事会や旅行、やりたいことはこの日を乗り越えてからと我慢してきた。そして一安心な結果にその夜は家族でお祝いをした。
この日、店を訪ねたのは2年前にウィッグを購入し髪の毛をバッサリ切った伊藤さん。抗がん剤治療を乗り越えて髪の毛は元の長さにまで戻ったが、髪の毛がまたごっそり抜けてしまったという。元のように髪の毛が生えてこないケースはよくあることで、髪質の変化に戸惑っている。薬は10年。ガンとの闘いはこれからも続く。あの時使っていたウィッグは今は必要ないがキレイに保管しておきたいという。公民館で行われた佐藤さんのがんサポートの講演会。講師として招かれた。山形県内の美容師が集まりがんサポートを学ぶ。佐藤さんは自らの体験を交えて、同じ利用し達にアドバイス。ある乳がんを患う女性はウィッグを付けているという。外して実際にみせてくれた。ウィッグをとってみせてくれたのはみほさん。39歳で乳がんと闘っているが、同じ病気で悩む人達のためにブログをまとめてSNSで発信している。東京で理容師として働いてきたみほさんは、病気とむきあってがんサポートの大切さを感じた。佐藤さんの活動を知り店を訪ねたのをきっかけで一緒に活動しようとしている。その活動は温泉の日。見た目を気にせずに、貸し切って入浴できる時間を作りたいと考えている。これから施設と交渉する計画だという。