ザ・ノンフィクション われら旅芸人の大家族 僕とわたしの生きる道
浅草の三社祭と日程が重なった愛羅さんの花形襲名披露公演の当日。この日は2時間半の舞台全て、愛羅さんが主役となった。外連味たっぷりの立ち姿に観客も大喝采した。そして劇団暁にとって初めての女性花形の誕生となった。愛羅さんにカメラを向け祝福している観客のほとんどは女性ファンだった。そして大入りで迎えた千秋楽に暁人さんは日本一を目指すという決意を口にした。そして春樹さんの再建計画も小さな一歩を積み重ねていた。だが10年前にファンにもらった苗木から育てたしだれ桜は幹からバッサリと切られていた。さらにこの日の客は40人弱でかぶき村再建の抜本的なアイデアも浮かばないまま時だけが過ぎていた。
この日は北関東随一の観光地である日光鬼怒川に春樹さんとかおりさんの姿があった。会っていたのは中国人向けツアーを手掛ける会社の社長だった。訪日客の取り込みに活路を見出そうとしていた。その社長にかぶき村のチラシを見せたところ興味は持ってもらえたが、「無理無理」という言葉を口にされていた。