モーサテ みんなと、SDGs
アカデミー賞で作品賞など5部門を制した映画「Anora」(配給:ビターズ・エンド・ユニバーサル映画)。ショーン・ベイカー監督はアメリカの社会的、経済的な弱者に焦点を当てた作品を撮り続けている。ニューヨークでストリッパーとして働くアノーラ。ロシア人富豪の御曹司と出会い結婚するが夫の両親に強く反対されて夫は失踪。夢をつかみかけて失うアノーラ。自らの手で人生を切り開く姿を描いている。ショーン・ベイカー監督はアカデミー賞で作品賞や監督賞など5部門を受賞。これまでも社会的、経済的に弱い立場に置かれている人を描いてきたベーカー監督。背景には貧富の差の拡大などアメリカ社会が抱える課題がある。アノーラで描いた題材の一つはセックスワーカーに対する職業差別。ショーン・ベイカー監督は「性産業に対しては極めて不当で決して消えない差別がある。そうした差別を少しでも減らしたいと考えた。セックスワーカーに深い尊敬と共感があるし映画を見てもらいたい」とする。配信映画が活況となる一方でアメリカでは映画館の減少傾向が続く。低予算の映画を取り巻く環境は厳しくアカデミー賞のすぽーちでは業界に変革を訴えた。ショーン・ベイカー監督は「映画館のスクリーンで見るのはアクション大作だけ、低予算で会話中心の映画は家で見るものと観客が思っている。私たちの映画も大作と同じスクリーンで上映される価値がある」とする。各国の利害が対立し世界が分断される今、映画はますます重要だとする。ショーン・ベイカー監督は「政治的な分断が起きていてSNSはそれを助長するだけ。映画館にはさまざまな背景や信条、夢や目標を持つ人がいて一緒に同じものを見る映画鑑賞という体験をする。芸術の力。コンサートや音楽も同じ。人類の歴史において芸術が行ってきたことは人々を集めるということ」と述べた。