時論公論 (時論公論)
トランプ大統領が議会で向こう1年の施政方針を示し、アメリカの利益を最大限引き出そうとするディール外交を推し進める姿勢を鮮明にしている。内政に関しては国境管理強化や政府支出削減、環境規制の撤廃・緩和、多様性重視の撤回などを訴えた。外交に関してはウクライナの戦争終結を目指して停戦を双方に促す仲介外交に取り組む考えを示した。この3年間でウクライナに対して各国が表明した軍事支援などの総額は国別ではアメリカが突出し、1か国で全体の40%以上を占めている。先月の世論調査で支援が過剰と考えるアメリカ国民は最も多くなっており、とりわけ共和党支持層で年々増えている。ウクライナの鉱物資源をめぐる協定案でアメリカとウクライナ両政府は共同で管理する基金を設立し、鉱物資源から将来得られる収益の50%を拠出するとしている。トランプ大統領はこのディールによってアメリカの関与が深まりロシアに再侵攻を思いとどまらせると主張しているが、ゼレンスキー大統領はウクライナの安全の保障を確約するよう求めている。中国に20%、メキシコとカナダに25%の関税を発動したトランプ大統領は、これに加え演説で貿易相手国と同じ水準まで関税率を引き上げる相互関税を4月2日に発動する方針を明らかにした。日本についての言及はなかった。