時論公論 (時論公論)
各地でクマの出没や人身被害が相次いでいる。秋田・湯沢市では女性が死亡しているのが見つかりクマに襲われたとみられている。岩手・岩泉町では2日連続で住宅街にクマが出没しライフル銃を持つ警察のチームが出動した。
10月末までのクマによる人身被害は197人と過去最悪のペース。死亡者はきのうまでに13人で既に年間の最多を大きく更新している。アメリカやイギリス政府などは日本への滞在者・渡航者に注意喚起を行うなど国際的にも注目される事態になっている。7~9月の人身被害の7割以上は人の生活圏で発生。人を恐れない・避けないクマが増加している。今年に特有の原因はドングリの大凶作や去年の豊作で子グマが増加したこと。中長期的な変化は人口減少などで野生動物の生息範囲が拡大したこと、狩猟人口の減少がある。
9月1日から法改正で市街地でも猟銃による緊急銃猟が可能になり11月20日現在全国で31回実施された。ただ自治体の負担増加やハンターの不足・高齢化などの課題も浮き彫りになっている。政府はクマ被害対策パッケージを取りまとめ、人の生活圏からは排除するとともに保護区を設けて人とクマとのすみ分けを進めることなどを目指す。クマ被害対策パッケージは担い手不足などに一定の効果が期待できる。市民の側も庭の果実の回収などクマを誘引しない地域づくりの担い手でもある。
