国際報道 SPOT LIGHT INTERNATIONAL
アメリカのトランプ大統領が安全保障上の理由などから繰り返し取得を主張しているのがデンマークの自治領グリーンランド。人口は約5万6000人、その9割を先住民のイヌイットが占める。1979年に自治権を獲得したがデンマークからの独立は多くの人達にとって悲願となっている。そのグリーンランドの自治議会選挙がいま行われている。31の議席のうち、独立を支持している連立与党、独立に慎重な野党。グリーンランドのヌークの投票所前から中継。どのように選挙に臨んでいるのか。直前まで候補者が有権者へ投票を呼びかけている。85パーセントが、アメリカの一部になることに反対している。トランプ大統領の発言に対し有権者の多くが反発を口にしている。今回の選挙戦では政党の候補者からもアメリカによるグリーンランドの取得を認めるような声は聞かれない。ただ多くの人の悲願である独立を実現する上で地理的にも近いアメリカの存在を無視できないのも事実。連立与党は“デンマークからの補助金に変わる収入源として外国からの投資を呼び込み豊富な鉱物資源の開発を進める”としている。独立に慎重な姿勢の野党もトランプ氏への警戒感を抱いている。民主党のマーティンセン議員は、独立を急げばアメリカにつけいる隙を与える、まずは自治権の拡大を目指すべきという。独立はいずれ果たすが国民を犠牲にする形はだめだ。わたしたちは前の植民地支配から抜け出したのに別の支配者の下に入るつもりはないと主張。トランプ氏の関心はチャンスと捉える党もある。最大野党ナレラクだ。発展途上にある国にとって独立をするための方法を知るのは大切なことだという。選挙戦で訴えているのは自由連合という枠組みでの独立だ。自由連合はマーシャル諸島やパラオが導入し、国の主権は保ちつつ、アメリカに国防を委ねるかたちだ。ナレラクは島の北部に基地を持つアメリカは樹雄連合を組む有力な相手国だといい、トランプ大統領とも話し合いを持つべきだと主張。ナレラクのフダム議員は、われわれの党首はデンマークのほか、アイスランドやノルウェーとの協力、米国にも言及したことがあるという。