首都圏ネットワーク (ニュース)
王谷晶さんのババヤガの夜が日本人初ダガー賞受賞。王谷さんは短剣を意味するダガーを贈呈され「現実感がない」などとコメント。ダガー賞は1955年に創設され、すぐれた推理小説に贈られる権威ある賞。これまで横山秀夫さんや東野圭吾さんの作品が最終候補に残ったが受賞は逃していた。ババヤガの夜は、主人公の女性が暴力団会長の一人娘の護衛を任され、裏社会の闇に迫る物語。王谷さんは臨場感にこだわったそうで、絵コンテのように図に起こしながら書き進めたそう。王谷さんは13年前から作家活動開始。エッセイではレズビアンだと公表していて、これまでも女性同士の恋愛や家族の物語を書いてきた。本作では受賞理由について「暴力描写に満ちながらも登場人物の深い人間性を際立たせている」と評された。物語の中では女性の連帯に焦点が当てられていて、王谷さんは「女性の組み合わせはまず最初に頭の中に浮かんでくる」と話す。
王谷晶さんのババヤガの夜が日本人初ダガー賞受賞。本作では、物語終盤に主人公が少女を連れ出し逃亡を図る。就職氷河期世代で警備員など非正規の仕事を転々としていたという王谷さん。逃げることも生き延びるための手段だと強く思ったそうで、作品にそのメッセージを込めたと語る。王谷さんは「読むことでもう1日生き延びられる人もいるのではないか。自分も含めて」などと話していて、現実世界をより良いものにしていきたいとのこと。スタジオでも「コメントから王谷さんの優しさが伝わってくる」などとコメントされた。近年、多和田葉子さんが全米図書賞を受賞するなど海外で日本の女性作家が高い評価を受けている。こうした背景や、世界的なフェミニズムの大きな波が受賞に繋がった。専門家は「愛情などは普遍的なものだと思わせてくれる作品」などとコメント。