街角ピアノ (街角ピアノ)
イギリス・リバプールは人口約50万の大英帝国の繁栄を支えた港町。現在は世界的バンド、ザ・ビートルズの故郷として有名。2022年1月コロナ対策の規制を撤廃し、かつての日常を取り戻しつつある。市内最大のショッピング施設は約170店舗が軒を連ねる。広場には毎夏、期間限定で誰が弾いてもいいピアノが置かれる。20歳の中国人留学生は、16歳から単身イギリスへ渡り大学で哲学を学んだ。この春、オックスフォードとケンブリッジの大学院を受験した。来年の再受験に向けて勉強中。
地元の17歳高校生は、友人と遊びに来てピアノを弾いた。バンドを組み活動中で、ピアノとギターを担当。2年前、ギターの先生に勧められたザ・ビートルズに一瞬で心を奪われ、すべてのアルバムを聴いた。ボーカルが作る楽曲が好きで、何度聴いても感動するという。
リバプールが生んだ世界的バンド、ザ・ビートルズ。縁の地を巡るバスツアーの名前は「マジカル・ミステリー・ツアー」。ポール・マッカートニーが通学路にしていたペニー・レイン、歌詞に登場する理髪店を回る。「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」はストロベリー・フィールドがモチーフ。
大学を卒業したばかりの24歳男性は、ザ・ビートルズ「イン・マイ・ライフ」を演奏した。ビートルズが演奏していたライブハウスで働いたこともある。ピアノは12歳から独学で覚え、内気な自分にピアノが自信をくれる。市役所勤務の40代男性は、クイーン「ドント・ストップ・ミー・ナウ」を演奏した。新人看護師22歳は、買い物の途中でルドヴィコ・エイナウディ「イ・ジョルニ」を演奏した。シンガーソングライターを志す女性はハリー・スタイルズ「サイン・オブ・ザ・タイムズ」を演奏した。
ツアーでは、ジョン・レノンが最も長く暮らした家も見学する。5歳から22歳まで暮らし、エルビス・プレスリーに憧れここで作曲活動を開始してヒット曲「プリーズ・プリーズ・ミー」が書かれた。無名時代に演奏していたキャバーン・クラブで彼らはスカウトされスターの座へ駆け上がる。今もコピーバンドが観客を沸かせる。
ロンドン在住の23歳はいとこに会うためにリバプールを訪れ、ビリー・ジョエル「ニューヨークの想い」を弾いた。イラン人33歳は映画「ある愛の詩」メインテーマ(フランシス・レイ)を演奏した。7か月前に亡命し、35日かけてたどり着いた。
戦後、海運業の衰退により不況に陥ったリバプール。しかし、その後この町は観光都市として再生を果たす。港の倉庫街ロイヤル・アルバートドックは、再開発が始まる前は廃墟と化していた。現在は多数の店が立ち並ぶ一大観光スポットへ。なかでも人気なのはビートルズの博物館。街のメインストリートは音楽にあふれている。
24歳バーテンダーは、エルトン・ジョン「僕の歌は君の歌」を弾いた。2年前、母親のパートナーと口論になり実家を出た。孤独を救ったのがエルトン・ジョンの曲。元小学校教員は坂本九「SUKIYAKI」を演奏した。
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