- 出演者
- 林修
愛知・名古屋市のIGアリーナにやって来た。横浜アリーナや有明アリーナと並ぶ巨大アリーナとなっている。設計は隈研吾で樹形アーチが360度囲む。街の中心に聳えるIGアリーナで来月の大相撲名古屋場所を皮切りに数々な国際的な競技大会も開催。来シーズンからBリーグ名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームアリーナとなることも決まっている。今回は特別にオープン前のアリーナ内部へ。収容人数は国内最大級の約1万7000人。客席は4階席まである。その中でも1階席の造りは特別。間近で観戦することができる。さらに2階にはプレミアムラウンジ。白熱の試合を飲食を楽しみながら観戦できる。
オープニング映像。
番組は今回で5回目だ。5つのテーマからスポーツ×SDGsを考える。まずは気候変動×スポーツだ。屋外のスポーツについて心配しているという林修さん。世界で一番SDGsなサッカークラブがあるという。トッテナム・ホットスパーFCだ。1882年創設、北ロンドンにホームグラウンドを置く。今年のヨーロッパリーグを制覇し主要タイトル獲得数は18回だ。ホームスタジアムは、トッテナム・ホットスパー・スタジアム。2019年に1450億円で建設。6万2000人の収容。観客を熱狂に導く工夫が施されている。ホーム側は、一層構造。2階に分かれてはいない。観客は一体となれる。スタンドの下ではビールを飲めるスペース。ゴールラインバーと呼ばれるカウンターは、ピッチのゴールラインと同じ65メートル。ヨーロッパでも最も長いバーとして知られる。1試合、1万3000リットルに及ぶビールが提供される。スタジアム内には醸造所、ブリュワリーがある。高さ50メートルの屋根の上には、The Dare Sky walkと呼ばれるロンドンを一望できる展望デッキがある。地下には電動カート施設がある。「常に挑戦し続けよう」という看板が掲げられる。気候変動に対する取り組みが行われている。サスティナブルを目指すという。ホワイト・ハート・レーンはかつてのスタジアム。この瓦礫を現在のスタジアムの床材に生かしている。廃棄物を減らした。SDGs世界No.1に向けた取り組みをしている。可能な限り廃棄物を少なくすることを目指しているという。スタジアム内に持ち込むものは循環可能なもの。リユースカップを導入し、カップは回収ボックスへ。ブリュワリーを作った理由は、おいしさだけでなく、サステナブルな狙いがある。輸送トラックのCO2排出量削減につながる。大きなキッチンもある。料理にもサスティナブルを目指す配慮がある。
地球の「気候変動」を防ぐための努力をトッテナム・ホットスパーFCは行っている。スパーズのネットゼロ戦略。2022年を基準に、30年までに温室効果ガス50パーセント削減を目指す。2040年までにネットゼロの目標を掲げる。トッテナム・ホットスパーFCの最高収益責任者のライアン・ノリスさんは、サスティナブルは欠かせない要素だという。サステナブルなは理念だとのこと。トッテナム・ホットスパーFCのトッテナム・ホットスパー・トレーニングセンターは、東京ドーム7個ぶん。芝生のピッチが15面。ソン・フンミン選手もここで練習する。25の昆虫ホテルを設置している。虫の巣箱だ。木材や竹などの自然素材を集めた昆虫が巣を作るための場所だ。センサーを使って、鳥や昆虫の活動エリアを計測している。スポーツ・フォー・ネイチャーという国連などで発足した計画。スポーツ界全体で環境保護と生物多様性の回復を目指す行動計画をたてている。トッテナム・ホットスパーFCはプレミアリーグではじめて署名。野生動物のための池もある。生態学者が継続して調査しているという。温室効果ガスをゼロにするために自然環境を保護する必要がある。選手たちが環境について学ぶことができる場所がある。キッチンガーデンと呼ばれる農園がある。選手に提供する野菜や果物を無農薬で栽培している。去年は750キロを収穫。トップ選手からアカデミーまで全選手にサスティナビリティに関する教育プログラムを提供している。元イングランド代表のレドリー・キングさんは、スパーズで13年間活躍。現在は倶楽部のアンバサダーをつとめ、財団をサポート。選手はサスティナビリティに関する活動をファンに発信する義務があるというレドリー・キングさん。ライアン・ノリスさんは国連に加盟する97パーセントの国で視聴されているという。クラブの理念を世界中に届けるプラットフォームだ。どんないいことができるのか、共有することが重要だとのこと。日本でも新たな動きがある。スポーツ・ポジティブ・リーグという団体があり、2026シーズンから日本でも取り入れるという。スポーツ・ポジティブ・リーグはサッカーチームの気候変動に対するクラブの取り組みを数値化しランキング形式で評価するもの。現在は、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、リーグ・アンが参加している。ラ・リーがとセリエAはまだ入っていない。日本財団の助成金3億7000万円を活動資金としてJKリーグ全60クラブに分配し導入する。2018年までに1年間で中止になっていた試合数と2018年以降で中止になった試合の数は、5倍に増えている。山火事で今治の試合が延期になった。サッカーファミリーのスタンダードになっていくといいと担当者が言う。
SDGsについてとことんやるというサッカークラブの取り組み。トッテナム・ホットスパーFCのスタイルと同じように攻めるスタイルだと柿澤さんがいう。サッカーは温暖化の影響をダイレクトに受ける。世界に対しての影響力があるので発信することが望まれている。早稲田大学の原田教授は、プレミアリーグのチームには、先進的な事例がある。社会貢献は、事業と一体化している。観客は地球をよくするためにチームを応援する気分になる。トッテナム・ホットスパー・スタジアムは1450億円の費用がかかっている。回収できる見通しがあるという。スポーツ・ポジティブ・リーグが注目されている。気候変動に対するクラブの取り組みをランキング化する。Jリーグは世界で5番目のリーグとして2026年から参画する。日本は気候変動に対しての認識が甘い。Jリーグが日本のSDGsをひっぱるといい影響が広がるだろうと高田春奈さんがいう。スポーツと環境の考え方を変えなければいけないと林修さんが言う。
去年10月に長崎市に誕生した「ピーススタジアム」はサッカーJ2所属のV・ファーレン長崎のホームスタジアム。長崎県に本社を置くジャパネットホールディングスが手掛けており、収容人数は約2万人。試合日はいつもほぼ満席でJリーグトップレベルの集客数を誇る。このスタジアムを核とした複合施設が「長崎スタジアムシティ」。約80店舗が入る商業施設に加え、オフィス棟には21社が集っている。この施設を作った背景には長崎県が抱える深刻な人口減少があり、この課題を解決すべく総事業費約1000億円を投じて建設された。スタジアムシティへはJR長崎駅から徒歩10分。車が使えない高齢者や県外からの観光客も気軽に訪れることができる観光拠点となっている。スタジアムは試合日以外は無料開放され、スタジアムに面したホテルは宿泊はもちろん試合日は客室から観戦できる。他にもプロバスケットボールチーム・長崎ヴェルカの拠点のハピネスアリーナや、市民が普段使いできるスーパーなどの施設もあり、試合日以外でも人が訪れるよう工夫をして来場者数は約300万人を達成した。そしてスタジアムシティの誕生は新たな雇用まで生み出し、スポーツが地域の人口流出を止める力になっている。
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- HAPPINESS ARENAPEACE STADIUM Connected by SoftBankアビスパ福岡ジャパネットホールディングススタジアムシティホテル長崎リージョナルクリエーション長崎三菱重工業住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数国立社会保障・人口問題研究所大相撲冬巡業山口県岡山県持続可能な開発目標神奈川県福岡県総務省長崎スタジアムシティ長崎ヴェルカ長崎市(長崎)長崎造船所 幸町工場長崎駅V・ファーレン長崎
東京・江東区青海に今秋開業するのが「TOYOTA ARENA TOKYO」。収容人数は約1万人で、アルバルク東京とサンロッカーズ渋谷の新たなホームアリーナになるという。青海地区は羽田空港の航路になっているため、高層ビルの建築ができないことが課題だった。こうした中でトヨタアルバルク東京・林邦彦社長は「アルバルク東京とサンロッカーズ渋谷の試合を合わせたら年間60試合あり、他のイベントも合わせたらより多くの人が集まる。『あそこに行けば何かある』というような場所にしていきたい」などと話した。同じ江東区には「有明アーバンスポーツパーク」もあり、これらと連携しながら青海を”都心近くで気軽にスポーツのできる地域”として人々を惹きつけようとしている。
長崎スタジアムシティについて高田さんは「スタジアムシティができて長崎が大変革したと感じる」などと話した。林さんは「長崎の魅力はまだまだ伝わっていないと思う」などと話した。原田さんは「人の滞留時間が増えると一人ひとりの消費単価が上がる。滞留時間を増やす仕組みを作るための複合化は良い取り組みだと思う」などと話した。
廃校問題×スポーツ。林は50年間にわたり出生率が2.1を超えていないと指摘。今、少子化により多くの学校が廃校になっている。校舎の活用が大きな課題に。
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沖縄・うるま市にある5つの有人島の1つが浜比嘉島。2012年、少子化により廃校になった旧浜中学校。その校舎は3年前に宿泊滞在型のワーケーション施設に生まれ変わった。46年前、旧浜中学校を卒業した後藏根さんは施設の館長を務めている。しかし県外からの客足は伸びていない。去年の稼働率は28%。目標を大きく下回り厳しい局面を迎えている。うるま市と逆側の西海岸はリゾートホテルや観光施設が立ち並び多くの人々が訪れている。一方で東海岸は開発が進まず人口流出が続いている。そんな島の状況を変えてくれるかもしれない救世主が神奈川大学サッカー部。訪れた目標はトレーニング合宿。横浜市にある竹山団地は過疎と高齢化に悩んでいた。神大は団地を学生寮として生活しながら様々な地域貢献活動に取り組み団地を再生させた実績がある。神大と島を繋いだのは県と共にキャンプ・合宿誘致を行っている青田さん。部活動の合宿と地域課題を組み合わせた今回の取り組み。廃校を活用した合宿ならではの魅力も。校庭ではウォーミングアップ。練習後には海でクールダウン。次の日の練習に向けて心と体をリラックスさせる。そして学生たちにとって楽しみな時間が食事。体作りが大切な学生を迎えるにあたって地元の栄養士がメニューを考えた。地元の食材を使いながら高タンパクな食事を作り、沖縄の食文化を学べる場を提供する。後藏根さんは食事を通して島の活性化に繋げたいという。この日のメニューはゴーヤーチャンプルーと島大根のスープ・サラダ。栄養士の心がこもった食事に学生たちの箸も進む。現在、浜比嘉島の高齢化率は全国平均を大きく上回る45%。高齢化は島の伝統や文化にも影響を及ぼしている。学生たちが駆け回っているのはサトウキビ畑。収穫後の畑の清掃を手伝った。浜比嘉島に13カ所ある井戸。島ではカーと呼ばれる。「カーを大事にすると地域は元気になる」との言い伝えがあり、代々大切に守られてきたが、今は管理する人がおらず放置されたまま。そこに神大サッカー部が手を差し伸べる。久しぶりに井戸に水が貯まった。学生合宿を通じて後藏根さんは廃校の未来に希望を抱けるように。
スタジオトーク。林修は「今のこの島の状況というのは現在の問題として捉えることもできるが、未来における問題の解消にも繋がる。今の若い人って見たい世界を見たいように見るという視野狭窄を起こしている面がある。こういう機会でもなければ見ることができない世界と出会って、結果的にものの考え方自体を変えていくことに繋がる」などと話した。
青田美奈さんはタイのプロフットサル1部リーグのYFA SRIRACHAも誘致していた。聾の選手と健常者が共にプレーしている。このチームはタイのプロリーグで唯一障害者が所属している。青田さんの目的は社会的効果が高いチームを誘致し社会的インパクトを残すこと。このチームのオーナーは日本人の相原ユタカさん。相原さんは生まれつき左手がない。今回の訪問では、県内のスポーツ指導者や保護者に向けた講演会も開催した。相原さんはタイやバングラデシュなどで初の日本人プロ選手として活躍。引退後、障害者が活躍できるプロフットサルクラブYFA SRIRACHAを立ち上げた。沖縄県立沖縄ろう学校を訪ねた相原さん。相原さんがクラブを立ち上げた目的の1つが、障がいのある子どもたちが自分らしく生きるために夢や希望を与えていくこと。障がい者と健常者が共にプレーを楽しむ経験を通して、障がい者が自信を持ち夢を追うことを願っているという。
スタジオトーク。柿澤さんは「演劇人として過去にハンディキャップのある方や小学生を招待して日本2周したことがある。彼らは見た作品を声を大にして身振り手振り教えてくれて。エンターテインメントも壁はないんだと思った経験がある。これは本当に根本的なこと」などと話した。高田さんは相原ユタカさんについて「ご自身が経験されたことを子どもたちに伝えていきたいという思いを非常に感じた」などとコメントした。原田さんは「スポーツの世界ではオリンピックとパラリンピックみたいにカテゴリーを分けてそれぞれが最高の能力を発揮できるような形になっている。本当の共生社会はそれを全部取り込んだとき」などと話した。
今「パートナーシップ」がスポーツのトレンドになりつつある。企業とスポーツの関係はどうあるべきか。イギリスの名門サッカークラブ、リバプールFC(LFC)を取材した。こちらでは2021年から始まった「The Red Way」という取り組みがあり、PLANET・PEOPLE・COMMUNITIESを3つの柱としている。そのうちのひとつ「PLANET」は地球環境保護活動。1000本以上の植樹をトレーニングセンターで行っている。PEOPLEは地域の多様性や包括性の向上。コミュニティセンターでは移民や亡命希望者、障がい者たちがサッカーを楽しんでいる。さらにLFC財団は雇用プログラムを推進し、彼らの就職を支援している。2030年までに年間50万人の支援を目指している。この日、パートナー企業の参加者たちの情報交換会が開かれた。日本からは講談社が2021年LFCと戦略的パートナーシップを締結。「COMMUNITIES」では、高い失業率、低い識字率が問題になっているリバプールで、作文や表現力を使ったワークショップを開催している。講談社・野間社長は「貧困家庭だったりチャンスに恵まれない人たちにより多くの機会を提供したい」と語った。
原田宗彦は、リヴァプールというチーム・ブランドを通すとアンプのような拡大効果があるなどと話した。高田春奈は、個人的には小さなクラブやリーグだからこそそういった理念が必要だと思うなどとコメントした。
林修は、日本はスポーツが社会的存在として社会貢献などと関わる存在だとまだみんなが認識していない、この番組を通じて伝えることも意味があるかなと思ったなどとコメントした。