NHKニュース おはよう日本 特集
厚生労働省によると、中国残留邦人が介護施設を利用する際、ことばの壁が問題として指摘されてきた一方で、どのぐらいの人が利用せずにいるのかなど詳しい状況を把握するのは難しいという。10年前から、中国語の対応が可能な介護事業所一覧を公表していて、自治体を通じて周知や利用を呼びかけている。高知市の通所介護施設「デイサービスせいきょうやまもも」を取材。利用者34人のうち7人が中国残留邦人。統括責任者・田副大輔さんは、地域で孤立する中国残留邦人が介護施設でなじめない現状を知り7年前から受け入れている。職員が毎日中国語の勉強をする時間も設けた。しかし、ことばの壁だけではなく、当初はほかの利用者からの理解の少なさという課題もあった。この春から施設を利用している中国残留邦人の男性。日本語での会話に苦手意識を持ってきた。日本人の両親は、病気で亡くなったと聞かされてきた。中国人女性と結婚し、長年料理人として働いてきた。50歳で日本に帰国したが、残留邦人のコミュニティ以外の人とは話す機会がほとんどなかった。男性の誕生日の日、田副さんは、男性にほかの利用者と交流してもらう機会を増やそうと、得意な料理を作ってもらうことにした。施設に通い始めて9か月がたった今月、日本育ちの利用者とも笑顔で交流する男性の姿があった。