首都圏ネットワーク (ニュース)
広島出身の画家、丸木位里と妻の丸木俊の2人が原爆投下直後の惨状などを描いた連作「原爆の図」が展示されている埼玉県東松山市の美術館が老朽化した建物を全面的に改修すると決めた。3億円を超える寄付金を活用することにしている。夫妻が私財を投じて1967年に埼玉県に開設したのが「原爆の図 丸木美術館」。15の連作として完成させた原爆の図のうち14の作品が常設展示。着物が燃え落ち、ただれた皮膚を引きずってさまよう人々の様子など被爆の実相を伝えてきた。これまでに国内外から延べ140万人ほどが来館。ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の田中熙巳代表委員も訪れている。しかし、開館から57年経ち建物は増改築を繰り返してきたが老朽化が進んでいるという。美術館では改修のために寄付を募り今回、3億2000万円を超える額が集まったため全面的に改修することを決めた。当初、資金集めは難航、7年前に基金を立ち上げて寄付を募ってきたが年々集まる金額は落ち込んだ。転機となったのはクラウドファンディングのノウハウを持つ専門家との連携だった。クレジットカードでも寄付できるキャッシュレス決済を導入。米国の寄付専門のサイトと契約し海外からも寄付を募った。その結果、2020年以降国内外から毎年5000万円以上の寄付が集まるようになった。美術館は来年9月下旬から休館し開館60年となる2027年5月ごろのリニューアルオープンを目指すという。