ワールドビジネスサテライト (ニュース)
アメリカ・トランプ大統領は不法移民や合成麻薬の流入への対策が不十分だと1日からカナダとメキシコに25%の関税を課すと改めて強調した。また、中国やロシアなどの新興国で構成するBRICSに対してはドルを基軸とする通貨体制を支持するよう要求。「従わない場合、100%の関税に直面する」と関税を材料に、他国に取引(ディール)を仕掛けている。そんなトランプ大統領の関心が高い分野がAI。就任後すぐソフトバンクグループなどと80兆円規模という巨額のAI投資計画を発表。AIの開発を促進する大統領令にも署名した。
AIが抱えるリスクを指摘する声も上がっている。警鐘を鳴らすのは国連の軍縮部門トップに日本人女性として初めて就任した中満泉事務次長。「すでにAIの軍事利用は始まっている」とAIの軍事利用のリスクを強調した。実はウクライナやガザなど紛争の現場ではAIを利用した疑いのある無人の攻撃手段も使われ始めてい る。そして、中満事務次長が特に警戒するのが「自律型致死兵器システム」、通称LAWS。人間が操作することなく自律的に攻撃対象を選んで殺傷する兵器のこと。実用化されれば火薬、核兵器に次ぐ第3の軍事革命になるといわれていて国連・グテレス事務総長は「越えてはならない道徳的一線」と表現した。国連は来年までにLAWSの禁止などに向けた法的拘束力のある文書を締結するよう各国に呼びかけている。ただ、LAWSの規制をめぐってはロシアや中国などが消極的な姿勢。さらに、トランプ大統領が就任後バイデン政権で出されたAIのリスクを管理する大統領令を廃止したことなどでLAWSの規制が進まなくなるのではという懸念が強まっている。中満泉事務次長は「プラットフォームとしての国連の役割が再び非常に重要なものになってきている」などとコメント。