在日シリア人 “帰還か” “とどまるか” それぞれの選択

2025年6月5日放送 4:40 - 4:55 NHK総合
国際報道 SPOT LIGHT INTERNATIONAL

シリアで半世紀以上続いた独裁的なアサド政権が崩壊してからまもなく半年となる。新しい国作りが進められる中、先月、EU・アメリカ・日本が経済制裁を一部解除しシリアの再建を後押しする姿勢を示している。しかし2011年から続いた内戦で社会基盤の多くが破壊され、復興には課題が山積している。シリアからは500万人以上が国外に渡り、日本にも約1500人が暮らしている。この春、都内のレストランでシリア人家族を送り出すための送別会が行われた。モハメッド・アル・マスリさんは家族とともに祖国に帰る決断をした。シリアで子どもたちに英語を教えていたマスリさんさんは2011年に反政府デモに参加した。内戦もはじまり国内を逃げ回ることになった。内戦がはじまって2年後、自宅アパートにミサイルが直撃し、多くの住民が犠牲になった。マスリさんは隣国レバノンに難民として逃れ4年間過ごすことになった。難民キャンプには学校がなく、シリアの子どもたちに勉強を教えた。2018年、シリア人のための留学制度で家族で来日することになった。日本の大学院では紛争解決や平和構築について学んだ。7年余暮らした日本を離れる準備をするマスリさん。子どもたちにとって日本語はすっかり母国語となっていた。マスリさんは祖国を離れたことに負い目を感じてきたという。マスリさんはどうしても広島の被爆者たちに会ってみたかった。東日本大震災の被災者も訪ねた。被災者は津波で消失した松原の再生へ、成長に50年かかる松の木の苗を植えていた。去年、祖国では独裁的な政権が崩壊。マスリさんは一時帰国し、両親と11年ぶりの再会を果たした。ふるさとホムスの町はほとんどの建物が破壊されていた。学校も戦場となり教育ができない状況が続いていた。マスリさんはシリア復興のために子どもたちに教育の機会をつくりたいと考えるようになった。
日本に留まるシリア人もいる。アナス・ヒジャゼィさんは徴兵から逃れ、レバノンに脱出。弟は政権側に拘束され1年間拷問を受けたという。ヒジャゼィさんは留学制度で来日し、民間企業に就職しITコンサルタントとして働いている。生きる希望を失っていたヒジャゼィさんにとって日本はやっと見つけた居場所だという。アサド政権の崩壊はヒジャゼィさんにとって思いがけないニュースだったが、辛い記憶しかないシリアに戻ることは難しいと考えている。今、ヒジャゼィさんは中学校や高校を訪ね、シリアの現状や人々について知ってもらう活動に注力しようとしている。将来的にシリアへの支援につながることを願っている。4月、シリアに帰国したマスリさんから映像が届いた。新しく借りた部屋で家族とともにゼロからの再スタートを切ろうとしていた。子どもたちは日本とは異なる生活に戸惑いながらもシリアでの生活に馴染もうとしていた。シリアの復興に国民の1人として関わっていく覚悟。シリアに帰国したマスリさんは友人たちと資金を出しあって小学校を建設するための土地の購入をはじめているという。


キーワード
欧州連合東日本大震災レバノン陸前高田(岩手)ホムス(シリア)広島県シリア

TVでた蔵 関連記事…

中国 レアアース輸出規制めぐり ”EU企業への輸… (ニュース・気象情報 2025/6/7 22:55

企業に求められる人権とは何か? (週刊フジテレビ批評 2025/6/7 5:30

メルツ首相 トランプ大統領と会談 (キャッチ!世界のトップニュース 2025/6/6 10:05

ブルガリア ユーロ導入へ (モーサテ 2025/6/5 5:45

EU 鉄鋼・アルミ関税は「非常に遺憾」 (モーサテ 2025/6/5 5:45

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.