THE TIME’ TIMEレポート
奈良県奈良市にある奈良交通の本社。バスガイドの櫻井史子さん(53)がこの日担当するのは、茨城県から京都へ修学旅行で来た中学生。ガイド1人で2台のバスを同時にリモートで案内する。カメラ近くには女優ライトがあり、女優気分でガイドを行っているという。修学旅行生を乗せたバスは龍安寺や金閣寺、北野天満宮を巡り京都駅に向かう。櫻井さんはリモートでも景色をスムーズに案内する。バスの走行位置はナビゲーションで確認しており、長年の経験からナビを見れば実際に見えるものがわかるという。また、パンフレットや自作のボードをカメラに映し案内する。バスには前と後ろにモニターがあるので、小さな文字や細かなイラスト等もリモートならOKなのだ。櫻井さんは高校を卒業して奈良交通に就職した。入社した34年前はバスガイドが約200人という大所帯だった。結婚後、職場を離れたが、子育てが終わり復帰するとバスガイドの取り巻く環境は変わっていたという。現在、奈良交通に所属する正社員のバスガイドは17人。一方、修学旅行などでガイドを希望する団体は多く、人手不足やニーズの多様化が課題になっていた。こうした中、リモートシステムを開発し本格的に導入。5人で5月・6月の修学旅行シーズンは、29の学校のべ117台を案内するという。櫻井さんは「慣れるまでは大変なんですけど。働き方改革のひとつとして、年相応の年齢にあったガイドの仕事になると思います。」と話した。全ての日程を終え京都駅に向かう修学旅行生に最後に用意したのはわらべ歌だった。櫻井さんが牛若丸を歌った。また、英語バージョンも歌った。英語の歌詞に生徒たちは大爆笑。全員で合唱し盛り上がった。櫻井さんは「現場にいないもどかしさはありますが、ツールを使って、次どんな感じで楽しんでもらおうかなって。“リモートガイド”という職業が生まれると思います」と語った。