新美の巨人たち 新美の巨人たち
ときわ動物園でまず目に入ってくるのはアジアの森林をイメージした植栽。蛇行する道に入り1つ目のカーブを曲がると、テナガザルがいたが、日本庭園でも用いられる造園のワザが光っているという。若生は日本庭園でいう回遊式庭園でもつかわれ、園路を周りながら一つ一つの景に遭遇していくのと近いという。回遊式庭園とは伝統的な日本庭園の様式の一つで、園内の小路を巡ってくと目を見張る景観があらわれるようにデザインされている。ときわ動物園でも小路のカーブを曲がったその先に広がる景色に若生はこだわった。先ほどの光景では、奥に見えている倒木はアジアの森林ゾーンに入ったハヌマンラングールの先にあるシロテテナガザルの住む森のもの。角を曲がると、いきなりシロテテナガザルに出会えるかもしれないという若生の遊び心あふれるデザインになっている。またハヌマンラングールが使っているものは本物の木に似せて作られた擬木。これも造園で使用されるワザで、本物のようにリアルな擬木は全て専門の職人の手によるもので若生が2009年に手掛けたよこはま動物園ズーラシアのチンパンジーの森でも、木は擬木で、動物を客に見やすい位置に誘導しつつ絡んだ幹などが風景に溶け込んでいる。
シロテテナガザルがいるエリアにやってきた田中。東南アジアに生息する類人猿の仲間で、見事な身のこなしで枝から枝へ飛び移る腕渡りと呼ばれる方法でどうするが、これも若生の技法によって生み出されたが動物の住む環境を再現しているという。