首都圏ネットワーク (ニュース)
中小企業の後継者不足についてさまざまな事業者への支援が始まっている。前橋市内の中華料理店は26年前の開店以来、地元の常連客を中心に多くの人に親しまれていた。店主の長谷川弘之は73歳。連日にぎわっているが今の大きな悩みは後継者がいないことだという。親族や従業員にもあとを継ぐことを打診したが、いずれも断られた。民間のシンクタンク、群馬経済研究所がことし5月に調査を行ったところ回答があった県内の中小企業の45%が後継者がいないと答えたことが分かった。また、後継者がいない企業の経営者の年代別では長谷川と同じ70代以上でも37%余りに上った。体力への不安も少しずつ感じ始める中、ことし7月ごろ融資を受けている政府系金融機関から事業承継のマッチングイベントへの誘いを受けた。このイベントの特徴は店名などを公表して後継者を募ること。こうした取り組みでは取引先の信用不安などを防ぐため店名は明かさないのが一般的だが、名前を公表し経営者に店の魅力を直接伝えてもらおうという。長谷川は事業を受け継ぐことを検討している人たちに地域に愛されている店であることをアピールした。先月下旬、金融機関の担当者が東京から店を訪れ、イベントをきっかけに店の詳しい情報などの問い合わせが入っていることを伝えに来た。一方、県も家業を継ぐ若手側を支援しようという「GUNMAアトツギ部」という取り組みを昨年度から始めた。それぞれの後継ぎのニーズに合った支援者を県が募集し企業のさらなる成長を後押ししようという取り組みで20年余り勤務した都内のIT企業をことし退職し、来年、家業の土木工事業を継ぐ予定だという高崎市の加藤公慶が参加した。加藤は家業を継ぐだけでなく長年培った知識を生かして社内のIT化を進めている。これまでは手書きの掲示板で予定を管理していたがアプリの開発により作業員は自宅や出先からも予定の確認が可能になった。また、勤務履歴のデータ化も実現した。日々、やりがいを感じているという加藤は今、同じ若手後継者とともに地元、群馬を盛り上げていきたいと考えている。加藤は今後さらにIT事業に力を入れて収益の柱を増やしたいと意気込んでいるという。