NHKニュース おはよう日本 (特集)
今月、日本の伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まったが、酒造りの世界では人材育成が大きな課題でもある。そうした中で、愛知の日本酒界に期待の新人が誕生した。山崎真幸さんの酒造りデビューは、蔵にとってもことしの酒造りスタートの日。2001年、この蔵の長男として生まれた真幸さん。真幸さんが高校1年生になった2016年、社長で杜氏だった父・厚夫さんが50歳で急死。日本酒離れが加速し、経営が苦しさを増す中でのことだった。高校を卒業後、名古屋大学農学部に進学。アミノ酸代謝を学び、院に進む。在学中から酒造りも学び始め、日本で唯一のお酒に関する国の研究機関「酒類総合研究所」に史上最年少で修業に入る。このころから酒造りへの思いが変わっていったという。真幸さんは「自分の会社を見てても売り上げが落ちるとか暗い話ばっかりだったのが、日本全国を見渡してみると、そうじゃない場所もあって、いいお酒は実は今伸びている、僕もそういうお酒を造りたいと強く思うようになった」と述べた。そしてことしの春、名古屋大学大学院を辞め、満を持して蔵に入った。みずからが造る最初の酒として選んだのは、真幸さんと同い年の銘柄。父の厚夫さんは、酒造りの記録を細かく残していた。この日誌を真幸さんは幾度となく読み返している。しかし、真幸さんが選んだ銘柄は造り手には難易度高め。2か月後の11月13日、真幸さんの初めてのお酒が出来上がった。試飲をした真幸さんは「まずはひと安心。お客様に届けられるレベルにできたことはすごくうれしい」、最終的に造りたいお酒について「先代が急に亡くなったこともあって僕自身、周りの人に支えられて今がある。皆さんに寄り添えるようなお酒を感謝の意味を込めて出したい」と述べた。