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日銀はきのうまで開いた金融政策決定会合で、これまでの金融政策を維持することを決めた。注目されたのは、記者会見での植田総裁の発言。キーワードは「時間的余裕」。日銀は物価が急激に上がるという見通しとなった場合、金利を速やかに上げて物価を抑える必要がある。物価が上がる要因として円安がある。円相場が1ドル=160円台から140円台前半へ修正されたことで、円安による物価上昇はゆるやかになり、利上げのタイミングに「時間的余裕」が生じたとみられていた。一方で、米国の景気後退のリスクが同じ時期に指摘されていたため、日銀は“米国経済の行方を時間をかけて見ていく”姿勢を示していた。ところが今、再び円安が進んでいる。円安と物価の関係について、植田総裁はきのう「企業の賃金価格設定行動が積極化する中で、円安が物価に及ぼす影響が大きくなっている」と述べた。米国経済については「(9月の雇用統計が堅調だったことを受け)データが少しずつ改善し、市場も少しずつ安定を取り戻している」とし、リスクの度合いが低下しているとの見方を示した。米国経済のリスクは低下しているため、米国経済に特に注目するということはいったんやめて、今後は会合ごとにさまざまなデータを点検して利上げを検討していくという、通常の姿勢に戻るという考えを示した。