時論公論 (時論公論)
日銀は政策金利を17年ぶりの水準となる0.5%程度に引き上げることを決定した。外国為替市場では円安ドル高となるなか、中小企業からは輸入原材料コストが上昇し、経営が逼迫しているといった声があがり、円安の進行に歯止めをかけるための追加利上げという見方もある。ただ、日銀のみの力で物価、賃金の好循環を実現できるわけではない。日銀は昨年7月、追加の利上げを決めていたが、市場は予想外と受け止め、日経平均株価が急落した。そのため、今回は金融政策決定会合の前に幹部が発信の機会を設けてきた。市場の混乱は生じず、日銀の動きを評価する声もあるが、課題を残したともいえる。政策金利が0.75%となれば、過去30年に経験したことのない水準になる。今後は注意深く景気の動向を観察し、利上げのタイミングを慎重に探るなど一段と繊細な舵取りが求められるという。