最高裁 旧優生保護法“違憲” 国に賠償命令

2024年7月3日放送 19:09 - 19:16 NHK総合
NHKニュース7 (ニュース)

旧優生保護法の下で障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めた裁判、初めて提訴されたのは6年前だった。きょう最高裁判所が判決を言い渡したのは札幌、仙台、東京、大阪の5件でこれまで高等裁判所の判決はいずれも旧優生保護法が憲法に違反していたと認めたが国に賠償を命じるかについては判断が分かれていた。理由が時の壁ともいわれる除斥期間。改正前の民法では不法行為があったときから20年が過ぎると賠償は求められなくなると定められ仙台高裁は除斥期間を理由に訴えを退けていた。宮城県の原告に立ちはだかった壁、原告の1人はことし5月の弁論で最高裁が最後の希望と訴えていた。そしてきょう最高裁判所大法廷で戸倉三郎裁判長は旧優生保護法の規定について「不妊手術を行うことに正当な理由があるとは認められず手術を強制することは憲法13条に違反、許されない」と指摘したほか「障害のある人などに対する差別的な取り扱いで法の下の平等を定めた憲法14条にも違反する」として、旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断を示した。また除斥期間については適用すべきだという国の主張は権利の乱用で許されないとして認めず、高裁で勝訴した4件について国に賠償を命じる判決を言い渡し原告の勝訴が確定した。また原告の訴えを退けていた仙台高等裁判所の判決を取り消し賠償額などを決めるため審理をやり直すよう命じた。
宮城県の原告の1人の女性は全国に先駆けて被害を訴え一連の裁判が広がるきっかけとなった。岸田総理大臣は「新たな補償の在り方について可能なかぎり早急に結論を得られるよう検討を指示した」と述べた。法律の規定を最高裁が憲法違反と判断するのは戦後13例目で最高裁が除斥期間の例外を認めた判決はこれまで2例しかなかった。昭和23年に施行された旧優生保護法は背景に戦後の出産ブームによる急激な人口増加などがある。条文には不良な子孫の出生を防止すると記され平成8年に改正されるまでの48年間に不妊手術を受けた人はおよそ2万5000人に上るとされている。最高裁の判決を受けて国は被害者への補償など対応について議論を迫られることになる。最高裁判所大法廷はこの法律が作られた時から違憲とするきわめて異例の判断を示し国会責任を指摘した。政府に対しても手術をするためには身体拘束や騙しても良いとした点や法律がなくなったあとも責任を否定する態度を取り続けた点を厳しく批判した。手術を受けた当事者の高齢化は深刻で全国の原告39人のうち6人はすでに亡くなり一刻も早い求める真摯な謝罪と裁判を起こしていない人も含めた全面的な保障を行うための仕組みづくりが求められる。


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