水道水からPFASが… 住民から不安の声

2024年12月1日放送 7:29 - 7:36 NHK総合
NHKニュース おはよう日本 特集

全国の水道水から検出されて問題となっている有機フッ素化合物・PFASについて。PFASは水や油をはじく効果があり、熱にも強いことからフライパン、食品の包み紙など、さまざまな製品に幅広く使われてきた。用途に合わせて1万種類以上あるといわれている。ただ、一部で有害性が指摘されていて、現在、3つ(PFOA、PFOS、PFHxS)が国際的に製造と使用が禁止されている。去年、WHO(世界保健機関)は、2つ(PFOA、PFOS)の物質の発がん性評価を引き上げた。米国の学術機関は、血液中のPFASの濃度が高い値が続くと「脂質異常症」「腎臓がん」「乳児胎児の発育の低下」「抗体反応の減少」の4つのリスクが高まると指摘している。日本ではPFASのうち、PFOS、PFOAの2つの物質の合計を水道水1リットルあたり50ナノグラムとする暫定目標値を設定。しかし法的な拘束力はない。水道水にどの程度PFASが含まれているのか、国は全国の状況を初めて公表。国の暫定的な目標値超えは14か所だが、現在は目標値を下回っている。また、目標値を下回っているものの、一定程度PFASが検出された所は500か所以上。PFASが水道水から検出される理由は、化学工場で製造使用されたり、在日米軍基地などで使われた泡消火剤などに含まれていたPFASが、川や地下水に流れ出たあとも残り続ける。PFASは自然界でほとんど分解されず、永遠の化学物質ともいわれていて、浄水場で除去しきれずに水道水から検出されている。今回、公表された地域の中で 最も高い値のPFASが検出された岡山県吉備中央町では住民の健康への不安が高まっている。
岡山県の山あいにある人口1万人ほどの吉備中央町。先週から町の公費による血液検査が始まった。PFASが血液にどの程度含まれているのか、検査を希望した住民など790人を対象に行われる。公費による検査は全国で初めて。去年、この町の一部の地区の水道水から、1リットルあたり1400ナノグラムのPFASが検出されていたことが発覚。国の暫定目標値の28倍という高い値。水道水が汚染された原因は、水源の上流に地元業者が置いていた活性炭。活性炭はPFASなどの有害物資を吸着して、取り除く効果があり、工場や浄水施設などで使われている。この活性炭の一部に含まれていたPFASが雨とともに土壌にしみ出したと見られ、水源のダムが汚染された。業者は使用済みの活性炭にPFASが含まれていたことは知らなかったという。業者は現在、詳しい調査を進めている。


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