歴史探偵 (歴史探偵)
「名所江戸百景」では江戸の街並みが鮮やかな色彩で表現されているが、「深川萬年橋」ではカメがドアップで、名所とされる橋はさっぱりわからない。ただ、テーマは放生会で、魚や鳥などを離して善行を積む風習とされる。亀が多く売られていたのは萬年橋など、わかる人には分かるような謎掛けを仕掛けていたという。千葉・浦安市など場所は江戸に含まれていなくても、江戸の人々の生活に関わるところを歌川広重は描いていた。「名所江戸百景」は安政2年10月に大地震が起きてから、半年後に出版された。広重は地震の爪痕ではなく、地震の前の美しい江戸の姿を次々に世に送り出した。