日曜討論 新政権発足へ 日本が直面する課題は
物価高対策を考えるに当たって重要なのが財源。総裁選で言及されていたのが税収の活用。国の税収は、2009年度以降右肩上がりとなっていて、今年度予算では77.8兆円と過去最大の見込み。一方歳出は税収を上回る状態が続いている。今年度予算での歳出総額は115.2兆円。差額の多くは国債によって賄われている。普通国債の発行残高は今年度末で1129兆円。この10年で1.4倍に拡大する見通し。
物価高対策の財源として高市氏は税収の上振れの活用に言及。田中さんは、「使える余地はあるが永遠に続くとは限らない」などと述べた。財政状況について白井さんは、日本の25年間の経済成長率は0.7%。これからもっと人手不足になってくるので成長率はなかなか上がりにくいので税収もそんなに伸びないという。ここ数年税収が上振れた最大の要因はインフレ。もう1つ重要なのは、日本銀行の金融政策が関わっていること。普通国債の半分は日銀が持っていて、ごくわずかずつ保有額は減らしているがすごく時間がかかるという。それでも、10年の国債金利を抑えるという政策を止めたので、今1.6%まで来ているという。これから財政懸念とか起きると、比較的早く金利が上がっていくと政府の利払いも増え、住宅ローンにもつながってくるという。税収は増やさないといけないが、経済が停滞していて20年間家計の消費がほとんど向いてないところで消費税の引き上げが難しいとなると、どうやって財源を確保するかが大事。歳出も見ていかないといけないという。高市氏は総裁選で赤字国債もやむなしと述べていた。宮本さんは、やむなしと言いながら選挙期間中はかなり慎重論に転じてたという。各候補の議論で重要だと思うのは、金融所得課税の可能性。若い世代の不満感・不平等感に対応するうえでも大事だという。2021年の総裁選で岸田文雄氏が金融所得課税を言い始め、自民党の税調でも議論を始めたが、明らかに説明不足だという。大事なのは1億円の壁が不平等感の源泉なので、対象を絞って金融所得課税をやっていくのが重要だという。ちゃんと説明すれば株価下落に直結するものではないという。
少数与党という政治状況での財政について土居さんは、説得しなければいけない人たちが増えるとなると、当然妥協せざるを得ないため歳出は膨らみがちになるという。財源が確保できなければ、既存の歳出の見直しをもっと徹底的にやっていかないといけないという。これをきちんと国民にわかりやすく説明しないといけないなどと述べた。政治が果たすべき責任について牧原さんは、今一般の国民はSNSの時代もあり個別のパーツで聞くので、全体像を語る時に大事なのはどういうストーリーでどういう政策、それぞれに対して何の意義があるのかを説明しないといけないが、一部を説明してしまう部分があり受け手が分かってないところがあるという。
総裁選では、医療・介護などの公定価格についても議論になった。宮本さんは、これまで処遇改善加算で賃金アップしてきたが、公定価格制度の中で行う限界があり、ここまで人手不足にも関わらず改められてないという。